『空き家対策条例』の策定
経過
これまで空家に関する諸問題の相談を受け、
行政へ要望するも、解決が難しい。
会派で協議を重ねる
2019年2月 会派で議員立法審議会を提案
2019年7月 会派で空き家対策研修
2019年7月 議員立法審議会設立~協議~
2020年3月 条例案の作成
2020年3月 全体会議
2020年10月 報告書提出
2020年10月 議員立法審議会の再設立
2021年2月 条例案の修正
2021年3月 逐条解説の作成
2021年5月 パブリックコメントの実施
2021年9月 全体会議
2021年9月 議員提出議案として条例案を提示・可決
2022年4月 施行
【背景】
国は、平成27年2月26日に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、特措法)を施行した。国土交通省に掲載されている施策の背景によれば(適切な管理が行われていない空き家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空き家等の活用のため対応が必要(1条))と記されている。特措法が施行された以降も、全国で空き家等対策条例が新設、または特措法に準じて改訂されている。この背景には、空き家等の管理に対する市民意識の向上を図るとともに、その対応について行政としての立場を明確にする必要性があげられる。
都城市では、この特措法を受け、平成27年度全戸調査を行い、空き家等候補件数が市内全域で3007件であり、そのうち平成27年度自治公民館アンケート調査の結果では、特定空家等候補件数が983件あるとの結果を得ている。この空き家に関する問題は、自治公民館を始め、市内全域で大きな問題となっている。本市では、空き家等に対する対応として、都城市環境保全条例を基に対応することとしており、特定空家については特措法の定めにより対応することとしている。
以上のことから、都城市議会として議員立法審議会を立ち上げ、増え続ける空き家等に対応するために「空き家対策条例」の制定に向けて取り組んでいく必要がある。
2019年7月 会派研修
研修先・テーマ
令和元年7月26日(金) 東京都中央区京橋(TKP東京駅八重洲カンファレンスセンター)
「空き家対策特別講座」 講師:樋渡啓祐 主催:地方議員研究会
研修内容
1 空き家の推移や分類
(1) 空き家・空き地の現状と課題
①人口が減少する一方で,総住宅数は増加しており,全国的に空き家数は一貫して増加傾向にある。なかでも,賃貸または売却の予定がなく長期にわたって居住世帯が不在の住宅等を含む「その他の住宅」が増加している。「その他の住宅」は,管理・処分方針が未定のものもあり,他の区分の空き家と比べて管理が不十分になりがちな傾向がある。
②また,地域の経済・産業活動の縮小や後継者不足等によって空き店舗,工場跡地,耕作放棄地も増加しており,空き家の増加ともに,地域の景観の悪化,治安の悪化,倒壊や火災発生といった防災上の問題等が発生し,地域の魅力低下につながってしまう。
③都道府県別に「その他の住宅空き家率」と「人口増減率」の関係を見ると,「人口減少率」が高い都道府県は,「その他の住宅空き家率」も高くなる傾向があることがわる。また,「その他の住宅空き家率」と「高齢化率の関係を見ると,「高齢化率」が高い都道府県は,「その他の住宅空き家率」も高くなる傾向があることがわかる。これらの相関関係を踏まえれば,地方においては今後,人口の減少や高齢化が一層進むと言われていることからも,空き家が更に増加すると予想される。
(2) 都城の人口予想
社会保障人口問題研究所(H30.3.30)によると,都城の人口は,2015年では165,029人であるが,2040年では,132,402人となると推測されており,80.2%に減少するとされている。
2 既存の空き家・空き地バンクの課題
空き家・空き地バンク登録件数が以上に少ない
3 全国空き家対策協議会・議員連盟の活用
(1) 自治体の役割
①全国空き家対策協議会の参加団体
47都道府県 903地区町村 計950団体
②全国空き家対策協議会の目的
空き家バンクへの登録促進
空き家・空き地の活用促進
③空き家対策推進のための全国協議会の設置について → 失敗
空き家対策に取り組む地方公共団体が,専門知識やノウハウが必要な具体的課題等について共有し,専門家と連携して対応方策を協議・検討する場を設け,実践的な空き家対策について政策提言を行い,その実現を図るとともに,蓄積したノウハウ等の周知・普及を図る。
(2) 全国空き家バンク推進機構(ZAB)
①空き資源(空き家・空き地・空きビル・空きスペース・廃校等)を通じて,地方創生・公民連携の実現を図る。
(3) 議員の役割
①今後の展開として「全国空き家対策市町村議会議員連盟」の発足
地域のことを知り尽くした議員が「プロデューサー」となり空き家減少を進める原動力になる。
4 地方創生・人口対策として空き家から切り込め
キーワード:
・「移住」
・「情報発信」
・「サテライトオフィス」
・「地域の事を思う地元住人との融合」
・「居場所」
感想及び市政への反映
空き家対策として,立法審議会が立ち上がり,空き家条例の制定に向けて議会としても動き始めた。全国各地から議員が集まっており,空き家問題は全国共通の課題であると改めて意識させられた。今回の研修では,現在,全国で展開されている空き家バンクの現状は失敗であるとの見解で,新たな取組の話も出た。空き家バンクについては,本市でも登録件数が少なく,利活用がうまくされていない現状は,今後検討や方向転換を図る必要性を感じた。また,質疑応答の中で,条例制定に向けて立法審議会が立ち上がったことを伝え,条例制定の中での注意点を伺うと,「○○することを努力するものとする」といった理念条例ではなく,「○○しなければならない」といった命令条例である事の方が望ましいという意見をいただいた。全国を見ても理念条例の自治体はあるが,罰則まで設けた命令条例の自治体は少ないとのことで,是非取り組んでいただきたいということも言われたところである。今後,都城市の空き家条例の制定に向けて,今回の研修を活かすことができると考える。
2021年9月議会
空家に関する相談を市民から受けることがありますが、解決に向けては、難しいこと多々ありました。そこで会派「進政会」で研修を行い、条例制定に向けて動きました。都城市議会初となる議員立法審議会を立ち上げ、他の会派にも参加していただきました。進政会で計画を立て、「他の自治体の条例比較」や「条例案の作成」など行いました。(詳細は報告書)