2021年9月議会
(1)実態調査
(2)支援体制
(3)市町村プラットフォーム
(4)補助金の活用
【背景】
いわゆる「ひきこもり」に関しては、内閣府の調査によれば、15歳から39歳までのひきこもり状態にある者が54.1万人(平成27年12月調査)、40歳から64歳までのひきこもり状態にある者が61.3万人(平成30年12月調査)と推計され、さらに、例えば80代の年金で生活する親と50代の無職の子が同居するいわゆる「8050世帯」の存在が広く認知されるなど、社会的な関心が急速に高まっています。我が国では従来「ひきこもり」は主に若年層の問題として考えられ、その支援も就学や就労をゴールとしたものが中心でありました。しかし、近年、中高年層の「ひきこもり」の推計値が調査公表され、これまでの問題の捉え方や支援の在り方が問い直されつつあります。ひきこもりの定義は「様々な要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交友など)を回避し、原則的には6カ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念」とされております。その上で政府では「ひきこもり支援施策の推進について市区町村で取り組むべき事項として、3点、①支援対象者の実態やニーズの把握、②ひきこもり相談窓口の明確化・周知、③市町村プラットフォームの設置・運営があります。現状把握のため質問してまいります。
(1)実態調査について
【質問】
質問します。本市における支援対象者の実態やニーズの把握の取組状況はどうなっているのでしょうか。
【答弁】
平成30年7月に、県の障がい福祉課が、民生委員・児童委員に依頼し「ひきこもり等に関するアンケート」を実施しております。本調査は、民生委員・児童委員が把握しているひきこもり状態にある方の人数や性別、年齢、ひきこもりの期間などの基本データを収集する目的で実施されたものです。この調査で把握できた県内の該当者は601人で、そのうち都城北諸県地区は108人となっております。本市におけるひきこもりに関するニーズについては、様々な生活の困りごとに対応している都城市生活自立相談センターや高齢者の総合相談窓口である各地域包括支援センター、子どもの虐待問題等に対応する要保護児童対策地域協議会など、ひきこもりに関連する相談対応を実施している機関と連携し、実態把握に努めてまいります。
【提言】
国の推計では、65歳未満で約115万人であり、これは人口の1%に該当し、本市の1%だと1500人程度いる可能性があります。また、令和2年度の都城市の不登校児童・生徒数は、220人であることから、民生委員等の調査で108人との数値は、おおよそ高齢者のひきこもり数ではないかと考えることもできます。
(2)支援体制について
【質問】 令和2年5月の厚生労働省の調査によると、ひきこもり相談窓口の明確化している自治体は、1741自治体のうち974自治体で55.9%にとどまっております。また、相談窓口を明確化にしている自治体のうち、窓口を周知している自治体は676自治体で69.4%であるとのことです。
質問します。ひきこもり支援の相談窓口の明確化とその周知についての取組状況はどうなっているのでしょうか。
【答弁】
本市におけるひきこもりの相談窓口は、市社会福祉協議会に委託している都城市生活自立相談センターが担っております。同センターでは、特に複合的な課題を抱えているひきこもりに関する相談について、市の福祉課や保護課、こども課などの関係課や、各相談機関と連携を図りながら包括的に対応しております。また、都城市生活自立相談センターのリーフレットには、ひきこもりの相談を受け付けていることについて明記し、各相談窓口にもリーフレットを設置するなど、相談窓口の明確化・周知に取り組んでおります。
(3)市町村プラットフォームについて
【質問】 これは、就職氷河期世代支援の取組として、厚生労働省から令和3年度中の市町村プラットフォームの設置が要請されていると承知しているところです。
質問します。市町村プラットフォームの本市における設置状況はどうなっているのでしょうか。
【答弁】
ひきこもり支援推進のための「市町村プラットフォーム」は、支援を必要とする方を対象とした個別ケースの具体的な支援プランに関する情報共有や、対応方針の検討を行う場としての機能をもつものです。国は、原則、令和3年度末までに「市町村プラットフォーム」の設置に取り組むことを示しております。今後、多様な機関が参画している「相談支援包括化推進会議」を念頭に、「市町村プラットフォーム」の設置に向けた検討を進めてまいります。
(4)補助金の活用について
【質問】
市町村のひきこもり支援に活用できる補助金として、「ひきこもりサポート事業」があります。また、ひきこもりの方の支援体制の整備として、生活困窮者自立支援制度においては、国庫補助率100%で、アウトリーチ等を行う支援員の配置が可能であります。
質問します。本市における活用状況はどうなっているか。
【答弁】
「ひきこもりサポート事業」、「アウトリーチ等の充実による自立相談支援機能強化事業」は、いずれも国の生活困窮者就労準備支援事業費等補助金交付要綱に位置付けられている事業であります。「ひきこもりサポート事業」は平成30年度に創設されたものであり、ひきこもりに関する情報発信、支援拠点づくりなどを実施することで、ひきこもり支援の基盤を構築するものです。また、「アウトリーチ等の充実による自立相談支援機能強化事業」は、自立相談支援機関におけるアウトリーチ等の充実を行い、ひきこもり状態にある方など、支援に時間のかかる方に対して、より丁寧な支援を実施するものです。本市においては、現在のところ事業は活用しておりませんが、まずは、ひきこもりに関する実態やニーズの把握及び活用可能な資源の情報収集から取り組む必要があると考えております。
【提言】
本市のひきこもり支援を推進するためには、まず、実態やニーズの把握であると考えます。市も情報収集から取り組む必要があると考えておられるようですので、早い段階で把握され、支援に向けて一歩前進することを提言します。
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