2022年3月議会
(1)農振の見直しについて
(2)農地の活用について
【背景】
都城の基幹産業は、農林畜産業であり、肉用牛、豚、ブロイラーの生産が盛んで、市全体の農業産出額の約8割が畜産部門です。令和元年度は市町村別業農算出額が約877億円、全国1位となっています。また、お茶や、カンショ、ゴボウ、サトイモ、ラッキョウの栽培が盛んで、古くから名産地として知られています。キュウリやイチゴなどの施設園芸での栽培も盛んです。近年では、農業生産法人などによる大規模な栽培や、6次産業化による新たな事業展開を計画する農業経営体も増えています。市長が実現を目指す持続可能な儲かる農業のためにも、農地の活用は、重要であると考えます。
(1)農振の見直しについて
【質問】 農業振興制度の目的は、農業の振興を図るべき地域を明らかにすること、土地の有効利用と農業の近代化を計画的に推進することとなっています。農業は、地域の自然的な条件に左右される面がきわめて大きいという特徴があります。また、土地集約性の高い産業のため、農業以外の分野との調整を図りつつ、農業を営む上での条件のよい地域を一体的に保全していく必要があります。そこで、農業振興地域整備計画は、おおむね10年先を見据えて、市町村が定める公的な計画です。市町村は、農用地等の面積、農業就業人口、計画の達成状況など見直しに必要な項目の現況及び将来の見通しについて、5年ごとに調査を実施し、社会情勢の変化に適切に対応するよう農業振興地域整備計画の見直しを行うこととされています。 農業振興地域整備計画が令和5年3月末に計画策定が完了予定となっています。
質問します。現在の進捗状況と今後の予定はどうなっているのでしょうか。
【答弁】
農業振興地域整備計画の見直しにつきましては、令和3年度に、資料収集や農用地等の現地確認等の基礎調査を行っております。今後は、編入及び除外すべき農用地等を含めた農用地利用計画、及び農業振興地域の整備のためのマスタープランにつきまして、県と協議を行い、農業委員会やJA都城、土地改良区等の関係機関から意見を聴取します。その後、広告縦覧を行い、令和5年3月までには農業振興地域整備計画変更の手続きが完了する予定です。
【質問】
農地を持つ高齢者や農業関係者の方など様々な方から、荒れた農地や農振について、聞かれることがあります。現状は、農振制度の目的に則しておらず、このままでは、いけないと感じます。
質問します。全体見直しの中で、現在荒れた農振農用地や今後後継者がいない農振農用地について、検討があるのでしょうか。
【答弁】
現在、荒廃化した農用地等で除外可能と判断できる場合は、農用地利用計画へ反映させるように見直しを行っております。しかしながら、10ヘクタール以上の集団の中に存在する農用地や、土地改良事業等の施行に係る土地などにつきましては、農業振興地域の整備に関する法律により、荒廃化している農用地や後継者がいない農用地であっても、農用地区域として定めるべき土地とされているため、5年毎の農業振興地域整備計画の見直しにおいても除外できない場合がございます。
【提言】
荒廃化した農用地が増加している状況があるため、土地の有効活用を目指し、社会情勢の変化に適切に対応するよう農業振興地域整備計画の見直しを提言します。
(2)農地の活用について
【質問】
課題は、農業の高齢化に伴い、耕作が行われなくなり放置された農地、つまり耕作放棄地です。管理されない農地が、農業生産の減少や食料自給率の低下、景観の悪化や周囲の農地への悪影響、災害時の危険性の向上、イノシシなどの鳥獣被害など様々な悪影響を与えています。本市においても、耕作放棄地は年々増加しています。
質問します。耕作放棄地の現状をどのようにとらえているのでしょうか。
【答弁】
市内全域の農地を対象にした農地の利用状況調査を年1回実施しています。農業委員24名と農地利用最適化推進委員40名で地区を分担し、例年7月から8月の2か月間で確認しています。農地量状況調査におきまして、耕作放棄地と判定しました農地及び農地面積に占める耕作放棄地の割合は、令和2年度は457.6ヘクタールの約3.4パーセントで、平成28年度の279.9ヘクタールの約1.9パーセントと比較し、4年間で177.7ヘクタール、約1.5ポイント増加しています。
【質問】
耕作放棄地が増加している主な原因の1つは、農業者の高齢化や後継者不足による農業人口の減少です。
質問します。耕作放棄地に対してどう対応しているのでしょうか。
【答弁】
農地利用状況調査の結果を基に、例年11月から12月にかけて、現在利用されていない農地所有者や管理者を対象に、今後の農地利用の意向調査を実施しています。意向調査の内容につきましては、農地の賃借を希望する、売買を希望する、または自分で耕作するなどです。令和2年度の実績としましては、477人へ通知し、285人から回答があり、農地の賃借を希望する方が92人、売買を希望する方が55人などとなっています。この意向調査を取りまとめた上で、各地域の農業委員及び農地利用最適化推進委員と情報を共有し、地域の担い手への農地集積や集約といった農地の有効活用に取り組んでいるところでございます。また、耕作放棄地の雑草繁茂について、周辺住民の方から農業委員会へ相談があった場合には、所有者、管理者の方へ雑草の刈り取り、搬出などの適正管理を個別訪問や文書でお願いしております。令和2年度は63件の相談があり、46件に対応いただき、解消率は73パーセントとなっております。
【質問】 中長期的な視点で、中山間地域の耕作放棄地を活用した方がよいのではないかという声があります。
質問します。担い手の見つからない耕作放棄地に対する手立てを検討しているのでしょうか。
【答弁】
土地所有者自身で、管理が出来ず借りてが見つけられない場合につきましては、地区の農業委員及び農地利用最適化推進委員へ相談いただければ、地区の担い手へ耕作の打診を行うなどしております。ただし、山林の様相を呈するなど農地としての利用が困難な農地につきましては、場所によっては、農地以外への利用を容認する場合もあります。
【質問】
農業の担い手不足の現状がありますが、農外からの就農は下限面積が課題となっています。農水省は新規参入を進めるため、別段面積という制度を導入しており、農業委員会の裁量で下限面積を引き下げられます。全国の約70%の市町村が導入しており、最低でも1アールとする自治体が多いようです。静岡県の藤枝市農業委員会は、農地が借りられる下限面積を、限りなくゼロから認める「ふじえだゼロから農業エントリー制度」を創設し、農外からの小規模な参入を進めています。藤枝市はその下限を取り払い、参入者の力量と農地の大きさに応じて認めているようです。2021年5月以来、1月末までに14件の就農を認定し、会社員らの半農半Xを後押ししています。1件は農作業経験がないため0・6アール以下で認定したようです。しかしながら、都城では、下限面積が50アールとなっています。
質問します。下限面積を変更する検討はないのでしょうか。
【答弁】
農業委員会は、平成22年農林水産省通知「農業委員会の適正な実務実施について」に基づき、農地法第3条許可申請における下限面積については、毎年その設定や修正の必要性を審議しなければならないことになっております。下限面積をさげるということは、小面積所有者の権利者が多数発生することとなり、農業経営合理化につながる農地の集積・集約の推進においては、いずれ障壁となり得ることも考えられます。そのため、下限面積の変更については、より慎重な検討が必要と考えております。なお、「空き家情報バンク」に登録された空き家に付属した農地の取得に関しましては、平成29年12月から別断面積を設定しており、空き屋と同時であれば、1アールから取得できるようになっております。このことで移住希望者などを受け入れ易くなり、空き屋や耕作放棄地の解消につながっております。また、ひいては新たな農業の担い手が生まれてくることも期待しているところです。
【提言】
空き家情報バンクで、令和2年は3件、令和3年は5件の実績があったときいております。これは、下限面積を1アールからとしていたため成立したことと考えます。よって、中山間地の下限面積の検討は、効果があるのではないでしょうか。中山間農地の活用ために、下限面積の検討を提言します。
【質問】
中山間地は、傾斜地などの条件不利性とともに鳥獣被害の増加、人口減少・高齢化・担い手不足等、厳しい状況に置かれています。その一方で、平地に比べ豊かな自然などをいかして収益力のある農業を営むことができる可能性を秘めた重要な地域でもあります。このため、女性や高齢者を含め経営規模の大小にかかわらず意欲をもった前向きな経営者が活躍できる多様な経営を育み、景観等の中山間地の特色をいかした経営の展開を通じて、中山間地農業を元気にしていく必要があります。これらの状況を踏まえ、農林水産省は中山間地農業ルネッサンス事業で、中山間地の多様な取組を後押ししています。例えば、この事業の取組成果として、高千穂町では、関係人口の増加、八女市では、農業所得の向上などがあるようです。
質問します。中山間農地を活用する事業はないのでしょうか。
【答弁】
中山間地域で活用できる事業としましては、国の「中山間地域等直接支払交付金事業」がございます。この事業は、農業生産条件が不利な中山間地域等において、本制度活用を希望する集落等を単位に、農用地を維持・管理していくための協定を締結し、協定に従って農業生産活動等を行う場合に、面積に応じて一定額の交付金を交付するものです。令和4年度は、西岳地区の折田代地域が令和3年度に引き続き、取り組む予定となっております。今後も、本事業の周知に取り組んでまいります。
【質問】
質問します。では、本事業で、どのような効果があったのでしょうか。
【答弁】
折田代地域では、232筆、約31ヘクタールを事業対象農用地とし、本事業に取り組んでおります。令和3年度においては、232筆中10筆が耕作されず、雑草が生えた状態となっていましたが、集落協定参加者の協働取組活動により、草刈などの適正な農地管理が行われ、耕作放棄地の発生を防止しております。
【提言】
折田代地域は、中山間地域等直接支払交付金事業を活用して、まだ1年ということですが、耕作放棄地の発生の防止につながったということです。この交付金事業は中山間地農業ルネッサンス事業の関連事業でもあります。耕作放棄地の解消につなげ、中山間地農業の活性化を行うためにも、行政が主導して、中山間地農業ルネッサンス事業の活用を行うことを提言します。
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