2019年12月議会
(1)救急医療体制
(2)医師会病院への道路事情
(3)医師不足の状況
【背景】
宮崎大学医学部医学科には,2006年度に県内の病院で働くことを前提とした地域枠が創設され,2009年度には,緊急医師確保対策に基づく医師養成の推進により地域特別枠が創設されました。今年度は地域特別枠が5名が増加し,地域枠10名と地域特別枠が15名の計25名に拡充されました。しかし,地域枠や地域特別枠で宮崎大学医学部医学科に入学し,今春までに医師となった105人のうち,4人に1人に当たる26人が県外流出している状況があります。本市の地域医療体制を充実させるためには,医師確保が重要になってきます。また,市民が安心して暮らすには,地域医療体制とともに救急医療体制の充実も必要になってきます。
(1)救急医療体制について
【質問】
都城の基幹病院としては,国立病院機構都城医療センター,藤元病院,都城市郡医師会病院になるかと思います。平成29年度病床機能報告に基づく分析による都城市郡医師会病院では,年間,救急搬送が3236件あるようです。宮崎市の県立病院では4228件,宮崎大学付属病院1288件,宮崎市郡医師会病院1453件であり,人口規模を考えると,都城市郡医師会病院の役割は非常に高く,また,救急医療体制の状況も気になるところです。
質問します。本市の救急出動件数と救急隊員の人数の増減について教えてくさい。
【答弁】
消防局管内における平成30年の出動件数は8,383件で,5年前の平成25年,8,121件と比較しますと,262件の増加となっています。救急隊員数については,全消防職員187名中,南消防署19名,北消防署18名,鷹尾分署9名,高崎分署9名の合計55名を配置しています。救急隊員数は,都城市郡医師会病院移転に伴い,北消防署管轄内の救急出動件数の増加を見込んで,平成27年4月から北消防署救急隊員数3名の増員をしています。
【質問】
全国と同様,出動件数が増加しているようですが,救急隊員も増員しており安心しました。
沖水地区では,北消防署,医師会病院があり,救急搬送が早くて安心だという声がある一方,救急車が出払っていることも多く,すぐには救急車は来ないのではないかという声もあります。
質問します。管轄外の救急車が対応しなければならない件数はどれくらいあるのでしょうか。
【答弁】
救急車は,南消防署と北消防署にそれぞれ2台,鷹尾分署と高崎分署にそれぞれ1台,合計6台を配備しています。平成30年において管轄外の救急車が対応した出動件数は,1,127件でした。内約としては,南消防署への管轄外出動件数433件,北消防署への管轄外出動件数326件,鷹尾分署への管轄外出動件数317件,高崎分署への管轄外出動件数51件です。
【質問】
救急出動の一つに転院搬送があります。転院搬送は,傷病者を他の医療機関へ搬送する事案で,救急医療提供体制の確保に必要なものである一方,救急車の適正利用が求められています。そのため,2016年に総務省より,「転院搬送における救急車の適正利用の推進について」が発出されており,ガイドラインの策定が進められているところです。
質問します。転院搬送における救急車の適正利用に関するガイドラインの状況はどのようになっているのでしょうか。
【答弁】
転院搬送における救急車の適正利用に関するガイドラインについては,総務省消防庁と厚生労働省の連盟で,平成28年3月に「転院搬送における救急車の適正利用の推進について」が発出され,地域の実情に応じ,転院搬送のルール化に向けた合意形成のための取組を行うよう通知がありました。このことについて,平成28年度都城地区メディカルコントロール協議会で協議され,医師会や関係機関と連携を図り,地域の実情を考慮しながら検討していくこととし,現在,ガイドライン策定には至っていません。
【質問】
救急車の適正利用に関しては,救急受診アプリが開発されているようです。
質問します。救急受診アプリ「Q助」の広報状況を教えてください。
【答弁】
救急受信アプリ「Q助」は,急な病気やけがをした時の緊急度に応じた必要な対応を表示し,119番通報又は医療機関の検索や受信手段などの情報を提供するウェブ版・スマートフォン版のアプリです。現在,このアプリについては,消防局ホームページへの掲載や管内医療機関へポスター掲示を依頼するとともに,応急手当講習やイベント等で広報し,普及啓発に努めています。
【提言】
救急隊員の皆様には,日夜,命を救うために働かれており,感謝するところです。救える命を救い安心して暮らせる都城にするためには,救急医療の状況について,官民ともに把握していくことが大切ではないかと思います。今後も高齢化に伴い,救急出動が増加することが考えられます。救急隊員の増員とともに,救急車の適正利用のためのガイドラインの策定や救急受診アプリのさらなる周知を期待しているところです。また,他県では,救急安心センター事業を実施しているところもあるようです。救急安心センター事業(#7119)は,地域の限られた救急車を有効活用し,緊急性の高い症状の傷病者にできるだけ早く救急車が到着できるようにすることに加え,住民が適切なタイミングで医療機関を受診できるよう支援するため,消防と医療が連携し,救急医療相談と医療機関案内を,共通の短縮ダイヤルで行う電話相談窓口です。出動件数の増加を考慮すると,今後救急安心センター事業の検討も必要ではないかと考えます。
(2)医師会病院への道路事情について
【質問】 医師会病院のベッド稼働率は94%であり,県内で一番高い数値となっおり,医師会病院へお見舞いや付き添いで行く人も多いことが推測されます。そのためか,吉尾千草線を通って医師会病院へ行こうとする人は曲がり損ねて,金田町で,医師会病院へ行く道を聞かれることも多いようです。現地を視察してみると,案内板等なくどこで曲がれば良いかわからなくなることが考えられます。
質問します。医師会病院へ行く案内板の今後の設置をどのように考えているのでしょうか。
【答弁】
都城市郡医師会病院への案内看板は,医師会病院周辺を含めた主要道路に14か所設置しております。今後,令和3年度に都城志布志道路乙房インターチェンジの供用開始が予定されており,周辺道路の交通事情の変化が予想されますので,新たな案内看板については,地元の自治公民館等と協議を行いながら計画してまいります。
【質問】
救急車がよく通る道路の1つに吉尾千草線があります。吉尾のセブンイレブンから高専前の道路には2.5mの幅の歩道設置が計画されることになり地域住民は感謝しているところです。しかし,吉尾千草線を利用して医師会病院へ向かう場合,吉尾方面からは,金田交差点から松田酒店の道路が狭く,山田方面からは,広瀬公民館の前の道路が狭いようです。その中でも,金田交差点から松田酒店の道路は,通学路になっているということで,歩道整備について,平成23年より毎年陳情が提出され,平成27年には請願も採択されております。市長からの文書による回答もあり,歩道設置が難しい状況は認識しているところです。しかし,この道路は,朝夕の通学・通勤時間に救急車が通る場合,車がよけることが難しい状況があります。住民からは,歩道設置が難しいのであれば,救急車が通るときに車がよけれるよう,1mでも構わないから拡幅して欲しいという声があります。
質問します。吉尾千草線の金田交差点から松田酒店の道路拡幅はされないのでしょうか。
【答弁】
市道吉尾・千草線の金田交差点から松田商店までの区間につきましては,歩道が無く交通量も多いため,歩行者や自転車の安全性を確保するためにも,歩道設置を含めた,道路改良の必要性が高い路線であると認識しております。ご質問では,朝夕の通学,通勤時間に救急車が通る場合,車がよけられうよう1mでも拡幅をして欲しいとのことですが,1m程度の拡幅では,歩行者等の安全性を確保することは,難しいと思われます。また,沿線には多くの家屋が近接していることから,補導の拡幅整備と同様に,建物等の移転が数多く発生することが見込まれます。今後の道路整備につきましては,他の事業の進捗状況や本市全体の要望箇所を考慮し,緊急性や整備効果など総合的に判断してまいります。
【提言】
本市は合併後,沖水地区においては交通量の増加に伴い,交通事故も増加しています。そのため,要望書も提出されたのではないかと考えます。現在では,医師会病院が移転し,救急車が通る医療の道の一つとなっています。緊急性はましているのではないでしょうか。歩道設置を含めた道路改良の必要性が高いと認識していただいていることはありがたく思います。1m程度の拡幅では安全確保は難しいということですが,要望が提出されて約10年が経過しようとしています。1m拡幅されれば確保できる安全性もあるのではないでしょうか。緊急性があるから1mでもいいから拡幅できないかという声があり,歩道設置と1m拡幅で,費用や完成までの期間を示していただきたいという声もあることを伝えて,次に移ります。
(3)続いて医師不足の状況について
【質問】
地域医療構想でも医師確保が重要であり,地域医療対策協議会が医師確保の司令塔としての役割を担うようです。厚生労働省が発表している医師偏在指数を参照すると,都道府県別の3次医療圏での宮崎県の医師偏在指標は,210.6で下位33.3%未満に入っており,医師少数区域となっています。また,県内を7区域に分けた2次医療圏での都城北諸県地域の医師偏在指数は,150.6で下位33.3%に入っており,医師少数区域となっています。本市は九州で12番目に人口の多い都市です。しかし,医療圏で考えると医師偏在指数は,九州で37番目と人口と比較し低いようです。医療機関においても働き方改革が言われておりますが,現在の医師数で働き方改革を実施すると,医師会病院においては夜間診療をやめなければならない状況になる可能性もあるようです。もしそうなれば,市民が安心して暮らしていくことの大きなマイナスになります。
質問します。今後,本地域の医師確保をどのようにしていくのでしょうか。
【答弁】
県が策定している第7次宮崎県医療計画では,医師を含む医療従事者の養成・確保と資質向上について,施策の方向が定められています。県は,宮崎大学,宮崎県医師会,医療機関,市町村と連携し,オール宮崎で,医師のキャリア形成と医師確保について支援することになっています。今後も,県と協力し,地域における医療体制の充実と安定的な医療が提供できるように,医師確保に努めてまいります。
【質問】
医師不足を解消するためには,医師育成が必要であり,県外流出を防ぐことが必要になってきます。県外流出の理由の1つに,医療環境などもあるようです。地域医療を考えたときに,足りないものが多くあり1つずつ前に進めることが必要になってくるようです。
質問します。充実した医療体制に向けてどのような取組をしていくのでしょうか。
【答弁】
充実した医療体制に向けては,将来を担う医師の育成を含めた医師確保が重要です。医師育成につきましては,都城広域定住自立圏構想協議会が,未来の医療従事者を育成することを目的に小・中学生を対象とした医療体験を実施しております。本年度は,都城市郡医師会病院及び独立行政法人国立病院機構医療センターで開催しております。県立病院のない本地域では,都城市郡医師会病院及び独立行政法人国立病院機構医療センターが地域医療支援病院として指定されており,地域の中核的な病院の役割を果たしています。これらの医療機関の機能充実に向けて,近隣の市町や医師会など関係機関と連携し,県に要望していきます。
【提言】
医療機関の機能充実としては,延岡市にはある脳心臓血管センターが本市になく,これらの整備も必要になってくるのではないかと考えます。また,都城にはCKD(慢性腎臓病)の患者が多いようですが,それを専門とする医師は少ないようです。医師確保については,県が宮崎県医師就学資金事業を実施しており,これは,本県の地域医療を支えていこうとする気概と情熱に富んだ医学生を対象とした給付型の制度です。全国には奨学金の返済支援を行う市は10市あります。本市においても,必要な人材に対して検討してはどうかと考えます。
本日は,中学生が傍聴に来ていますが,この中には,医師を目指している生徒もいることかと思います。未来の地域医療の担い手となる可能性を秘めているのです。高い志を持って勉学に励んでいても,経済的理由から志望を変更する生徒もいます。子どもたちの未来のために,夢を実現する環境をつくってあげることも,我々大人の役割の1つであると考えます。地元都城で育ち,大きく成長して都城に帰ってくる,その動機の1つになるよう,都城独自の奨学金返済支援の仕組みを,ふるさと納税を活用するなどの方法で検討していただきたいと考えます。
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