2021年12月議会
(1)大島畠田遺跡公園の活用
(2) 歴史資料
(3)民俗芸能の状況
【背景】
都城市内には国指定の遺跡があり、今後利活用が求められている。また、市内に残る歴史的資料や民俗芸能は、存続の危機に瀕しているものあり、どのように維持していくかも本市の課題となってくると考える。
(1)大島畠田遺跡公園の活用について
【質問】
大島畠田遺跡公園は、コロナ禍以前では,小学校の遠足や各地区の高齢者学級の見学,県外からの史跡見学に利用されております。現地には職員が常駐しておりませんでしたが,事前に申込めば,職員が出向いて,随時解説していただくこともできました。また、多目的広場につきましては,地域住民によるグラウンドゴルフ場として,また子どもたちの遊び場として日常的に利用されています。
質問します。コロナ禍でイベントが減少しておりますが、団体やグループでの大島畠田遺跡公園の活用状況はどうなっているのでしょうか。
【答弁】
大島畠田遺跡歴史公園の史跡見学では、現地に職員は常駐していないため、事前申し込みに応じて、随時、職員が現地で解説させていただいております。また、歴史公園の入園者数については、正確な数字は把握できておりませんが、見学者向けに作成した史跡解説パンフレットを公園に設置したボックスに常備しており、自由に手に取ってご覧いただけるようにしています。なお、平成29年7月から現在までにパンフレット1万250部を配布しております。
【質問】
文化財課では、小学校等への出前授業において、火起こし体験などを実施されております。こちらもコロナの影響で縮小が続いているのではと考えます。
質問します。どのくらいの実施状況なのでしょうか。また、どのようなことをこれまでされていたのでしょうか。
【答弁】
発掘した出土品の活用を図るため、平成22年度より学校への出前授業を行う、「埋蔵文化財保存活用整備事業」を実施しております。出前授業の実施回数と参加者数は、令和元年度は57回で2,287人、令和2年度は37回で、1,150人、令和3年度は11月末までに42回で1,606人となっております。また、その内容については、市内で出土した本物の土器や石器に触れながら都城の歴史を学ぶ授業に加え、土器や勾玉づくり、火起こしや弓矢などの体験活動を組み合わせて実施しております。
【質問】
少年自然の家等では、体験プログラムとしてわかりやすい形でパッケージ化されております。例えば、大隅少年自然の家では、まが玉づくりがあったりします。活動可能人数、所要時間、説明形態、団体で準備するもの等が分かるようになっています。手引もあり、そこにはさらに詳しく記載されております。学校が主催であれば、出前授業として無償で体験を実施しているようですが、児童館や放課後児童クラブ、民主団体等、掘り起こせばニーズはあるように考えます。
質問します。一般からも依頼しやすく、職員の準備や打ち合わせの負担も減らせる形で、体験活動をパッケージ化することはできないのでしょうか。
【答弁】
一般向けの体験活動などについては、本市が主催するハロー市役所元気講座において、歴史講座・体験活動のメニューを設けております。そのメニューには、火起こしなどの体験活動1時間から2時間コースで材料費100円程度と提示しております。今後も利用者のニーズに合わせながら、丁寧な対応に努めてまいります。
【提言】
先日、大島畠田遺跡公園であった歴史探求活動を見させていただきましたが、企画された団体、ボランティアの方、そして参加された親子、とても満足していたようでした。反省会の中では、今後もっと工夫ができるような意見もあったところです。また、職員の方の丁寧な対応にも喜んでおられました。しかしながら、今回の企画のために、料金や方法について、数回、職員と打合せがあったようですが、職員の負担を軽減するためにも、ハロー市役所元気講座の内容の充実し、それを提示することを提言します。
【質問】
宮崎県埋蔵文化財センターが令和3年2月8日~2月28日に都城市立図書館で、文化財の移動展示を行い、都城市内の遺跡から出土した貴重な資料約200点を旧石器時代、縄文・弥生時代、古墳時代、古代~近世の4時期に分け展示されました。なかでも下大五郎遺跡(都城市丸谷町)の住居跡からみつかった8個もの弥生土器の壺、平峰遺跡(都城市平塚町)の古墳時代に行われていた鍛冶(かじ 鉄製品づくり)にともなう資料は一見の価値があったようです。他にも、平成27年度から始まった都城志布志道路金御岳(かねみだけ)工区の工事にともなう発掘調査の成果展示(小迫遺跡、保木島遺跡、上高遺跡)も行われました。常時、展示されている場所が都城歴史資料館にありますが、現在の文化財課の場所が離れております。近年は、史跡と一体化され、おしゃれな感じの埋蔵文化財センターが増えつつあります。例えば、宮崎市の生目の杜遊古館は、平成21年にオープンした施設で、埋蔵文化財センターと体験学習館があります。埋蔵文化財センターは、市内の埋蔵文化財の「整理・保管」、「活用」を目的とした施設で、隣接する生目古墳群のガイダンスも兼ねています。体験学習館は、勾玉づくり、土笛づくりなどの古代文化体験など様々な体験活動ができます。
質問します。国指定の遺跡である大島畠田遺跡公園の近くに埋蔵文化財センターとして設置する考えはないのでしょうか。
【答弁】
大島畠田遺跡公園の近隣において、史跡と一体化した展示・活用を行う施設設計の計画はございません。現在も都城歴史資料館を中心に、市民に向けた文化財の展示や活用事業に取り組んでおります。今後もさらなる展開を図っていくとともに、大島畠田遺跡公園などの史跡を利用した体験活動も含め、積極的な文化財の活用に努めてまいります。
(2) 歴史資料について
【質問】
都城には、新しい家も増えておりますが、昔から住んでおられる地の方もまだまだおられます。歴史的な資料が眠っている家庭がまだまだあると考えられます。
質問します。市としては、どのように考えているのでしょうか。
【答弁】
本市では、これまで多くの市民の皆様から、各家庭で保管されていた資料を多数寄贈いただいております。これらは、都城歴史資料館や都城島津邸などにおいて、展示公開しています。また、各館における展示や歴史講座統を通して、文化財が身近にあることやその貴重さ、大切さ、地域資料の重要性の啓発に努めているところです。
【質問】 一般家庭の中には、戦前の資料が残っている家庭もあります。時代が平成から令和に変わりましたが、戦時中を生きた方々も少なくなり、今、歴史的な資料を掘り起こさなければ、失われてしまうものも多くあると考えます。
質問します。一般家庭に眠る資料を提供してもらったり、高齢者等の話をまとめたりなど、資料保存に向けた考えはないのでしょうか。
【答弁】
市民より、家庭にある歴史資料について、寄贈等の相談があった場合、戦前及び戦時中の資料も含め、現物を確認した上で、基本的に都城の歴史に関連する資料を寄贈いただいております。なお、都城島津邸では、平成22年に3月に策定した「都城島津邸管理運営計画」の収集方針に基づき、都城島津家や薩摩藩、及びそれに関連する地域資料の収集、保存に努めております。今後も、寄贈いただいた資料については、適切に保存し展示などを通じて活用してまいります。
【提言】
島津邸の話になってしまいましが、ここに資料があります。・・・・
このような資料が失われる前に市から呼びかけるよう提言します。
(3)民俗芸能の状況について
【質問】
過去の議事録を参照しますと、平成18年から民俗芸能保存会の育成と活動を支援しており、平成25年には、民俗芸能を次の世代に引き継ぐための取り組みといたしまして、都城市民俗芸能保存連合会の育成のほか、個々の保存会が後継者育成のため独自で実施する伝承事業や、学校教育としての観点から小・中学校に設置された民俗芸能伝承研究会への補助等が行われております。
質問します。民俗芸能やその保存会の推移状況はどのようになっているのでしょうか。
【答弁】
都城地域では、古くから様々な民俗芸能があり、現在まで伝承されております。国指定重要文化財である「山之口ふもと文弥節人形浄瑠璃」、県指定無形民俗文化財である「山之口弥五郎どん祭り」「熊襲踊り」「揚げ馬」等、それぞれ保存会の方々が保存伝承に努められています。平成20年3月に1市4町の民俗芸能保存会が合併し、都城民俗芸能保存連合会が発足しました。合併当初は82団体が加入していましたが、会員の高齢化や後継者不足により、平成25年4月時点で73団体、令和3年11月現在で62団体まで減少しています。
【質問】
後継者不足の話も聞きますが、地元に関係なく継承していきたい人と保存会を結ぶことが必要になってくるかと考えます。
質問します。保存会等が減少している状況がありますが、現在どのような支援を行っているのでしょうか。また、今後維持していくための何か対策を考えているのでしょうか。
【答弁】
各保存会における会員の高齢化や後継者不足問題については、独自で伝承事業を実施する民俗芸能の単位保存会を対象に、後継者育成及び用具・衣装等の整備のために、「民俗芸能伝承・後継者育成補助金」を交付し、支援しております。また、市内の全小中学校を対象に、各地区に伝わる民俗芸能を伝承し、後継者の育成と保存伝承を図る目的で「小中学校民俗芸能伝承活動事業補助金」を交付し、支援しております。そのた、保存会等の活動を支援する資金として、連合会の事務局費、及び、連合会に加入している62団体に、活動運営費補助を交付しております。あわせて、「国指定山之口麓文弥節人形浄瑠璃伝承補助金」、「山之口弥五郎どん祭り開催補助金」「ジャンカン馬飼育補助金」「揚げ馬開催費補助金」等を個別の団体に交付しております。また、民俗芸能保存連合会に加盟している保存会に対し、国、県、民間の助成に係る情報を提供し、活動の充実に努めてまいります。保存会等を今後も維持していくための対策としましては、各保存会への支援を継続し、発表の機会の確保や広報の充実等、市民の皆様が民俗芸能に触れる機会づくりに努めてまいります。
【提言】
高木にはべぶどんという民俗芸能があります。2年前に保存会の維持が難しく廃止する話がでました。べぶどん保存会の場合は、まるごと地元の壮年団が引き受けることで維持されたところです。現在の市の支援では、減少している状況ですので、継続するためには何が必要なのか分析し、支援の在り方を再検討するよう提言します。
【質問】 民俗芸能に関しましても、コロナの影響は大きくあったのではないかと考えます。イベントの中止や活動の休止、保存会の存続や民俗芸能自体の伝承継続など、今はまで表面化されていないようなこともあるかと危惧してします。
質問します。コロナによる影響はどのようなものがあったのでしょうか。
【答弁】
新型コロナウィルス感染症感染拡大防止のため、各保存会は練習を行うことができず、イベントや祭りも「中止が相次いだため、発表の場が失われるなどの影響がありました。また、年1回、民俗芸能の発表の場の提供と市民の皆様への披露を目的に実施している「都城民俗芸能祭」も2年連続で中止となっております。
【質問】
ジャンカ馬の飼育に対する支援も本市で行っているようですが、都城盆地には、馬をあつかった芸能も多く残されています。あげ馬神事もその一つで、県内においては、諸県地方にしか残っていない貴重な無形民俗文化財で、高城町穂満坊・高城町桜木、山之口町花木、高木町などに今も残る都城盆地独自の祭りです。この民俗芸能の由来は、五穀豊穣・家内安全・無病息災などの他、島津氏の安泰や参勤交代の道中祈願、農民の願い等が盛り込まれています。行列は、稚児の乗る馬と荷駄馬を中心とした大名行列を模し、南方(諏訪)神社へ奉納する共通した形態で、行列を構成する各人の呼称や馬方唄には、その地区での工夫や歴史的経過が加わって独特なものです。例えば、高木のあげ馬は、火の上を馬が走る迫力あるもので、県指定の無形民俗文化財となっております。昔は、豊作の年は毎年、不作の時は3年ごとに、奉納されておりました。保存会ができてからは、3年に1度奉納されておりましたが、現在では、補助金の関係で他のあげ馬と同様4年に1度の奉納となっております。この神事は馬がいないと始まらないのですが、使用される馬は、コロナ禍の影響で、もういないと伺っております。理由としては、行事の中止により、馬を飼育する経済的な余裕がなくなったとのことでした。4年に1度となり、また、コロナで中止となった結果です。
質問します。市としてはどのように考えているのでしょうか。
【答弁】
揚げ馬保存会4団体に確認しましたところ、花木、穂満坊、桜木の3団体につきましては、馬の確保が可能であると聞いております。一方、高木揚げ馬につきましては、借用していた宮崎市清武町の調教馬が、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により、馬の飼育が困難となり、借用できなくなっていると聞いています。そのため、高木揚げ馬保存会が使用する調教馬の借用について、情報提供等の支援をしてまいります。
【提言】
4地区ありますので、情報提供だけでなく、馬の育成に関しても支援していただきたいと考えます。飼育費の補助だけでなく、例えば、都城農業高校と提携し、馬を飼育していただくような形であれば、生徒の畜産の学習や農耕神事の学習につながるかと考えます。農業高校との提携も検討していただくよう提言します。
【質問】 高城や山之口では、地域活性化事業を活用して、伝統芸能をデジタル化して映像等で残していく事業を行われております。大変良い事業だと考えます。保存としての映像ではなく、一般の市民の方や観光の方がその行事を視聴できたり体感できたりということで、市内の他の民俗芸能等でも事業を実施され、図書館であったり今後完成する道の駅都城であったりで、活用できるようにしても良いかと考えます。
質問します。残していきたい民俗芸能は、地域活化事業ではなく、幅を広げて市として取り組むべきことではないかと考えますがいかがでしょうか。
【答弁】
平成24年度から平成25年度にかけ、文化庁の文化遺産を活かした地域活性化事業を活用し、民俗芸能保存連合会に加盟している全団体を対象に、踊り等をDVD及びブルーレイでデジタル映像化しています。市民の皆様への貸し出しも可能であるため、気軽にご利用していただける環境づくりに努めるとともに、既存のDVD及びブルーレイのさらなる活用を検討してまいります。なお、この映像につきましては、市ホームページにリンクしているYouTubeからも、閲覧可能となっております。
【提言】
現状では非常に分かりにくいようです。ホームページにはそれぞれの文化財の記事もありますので、そこからもリンクするよう提言します。
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