2018年11月
視察先・テーマ
平成30年11月5日(月)大阪府泉佐野市役所
自治体電力(泉佐野電力)の取り組みについて
平成30年11月6日(火)和歌山県和歌山市役所他
リノベーションまちづくり事業について
平成30年11月7日(水) 兵庫県篠山市役所
鳥獣被害防止の取り組みについて
視察内容
(1)自治体電力(泉佐野電力)の取り組みについて
①泉佐野電力の設立の契機と経過
②泉佐野電力の事業スキーム
③一般財団法人の特徴
④事業収支の見通し
⑤再生可能エネルギー賦課金と交付金
⑥事業収支
⑦自治体PPSの役割
(2)リノベーションまちづくり事業について
①和歌山市の概要
②取組背景
③リノベーションまちづくり
④官民連携まちづくり
⑤現地視察
(3)鳥獣被害防止の取り組みについて
①事業の目的・内容
②篠山市有害鳥獣対策推進協議会発足の経緯
③被害状況の推移
④有害鳥獣捕獲後の処理
⑤事業の成果と今後の課題
視察の感想
泉佐野市は,平成29年度にふるさと納税日本一になり返礼率やイヌナキンというゆるキャラがおり,ゆるキャラグランプリでの組織表で話題になっている自治体であるが,過去に健全化法の黄信号にあたる早期健全化基準を上回り,人口流出などもあったため,自治体としての生き残るための必死さが伝わってきた。また都城市とは協定を結んでおり,焼き肉カーニバルにおいては,泉佐野市が出店を行っており,ふるさと納税をはじめ都城との親近感を感じた。
和歌山市は人口約36万人という都市であるが,他の市町村と同様人口減少になっており,特にまちなかの居住人口が半減している。市役所での説明後,実際にリノベーションまちづくり事業の対象になっている商店街を歩き,現場を見て回った。数年前よりは人通りが多くなっているようで,説明と同様に活性化してきている雰囲気があった。まちなかの対策や取組は,都城も取り組もうとしている事業であるため,参考になる部分が多数あると感じた。
篠山市は,市長選挙や氏名変更に伴う住民投票が実施される直前での視察で,住民投票後に丹後篠山市に市名が変更になった。この篠山市は,中山間地域で,歴史があり観光地としても風情のあるまちであった。鳥獣被害防止で地域貢献をしたということで,対策推進協が大臣賞を受賞しており,盆地である都城も鳥獣被害対策の参考になる部分があると感じた。
視察の成果及び市政への反映等
(1)自治体電力(泉佐野電力)の取り組みについて
現在,電力自由化に伴い,電力会社を自由に選択できるようになった。泉佐野電力は,発電所を建設したわけではない。一般財団法人をつくり,そこに出資し,再生可能エネルギーや電力取引所,関西電力から電気を買い取り,それを公共施設や民間企業に売ることで利益を上げている。市としての初期投資は200万円であり,平成29年度は事業活動収入は約5憶3000万円,支出は約5憶1200万円,収支は1800万円の利益となっている。宮崎県は日照時間も長く,太陽光発電の施設も多いため,都城としても実施が可能ではないかと考える。
(2)リノベーションまちづくり事業について
和歌山市は平成19年度から24年度まで,認定中心市街地活性化基本計画に基づき59の事業が完了しが,未だ活性化にはいたっていないと検証していた。和歌山市のように都城も過去の事業の成果もしっかり検証する必要性があると考える。和歌山市は平成25年度からリノベーション事業を取リ組んでおり,まちなかの人口や生徒数は下げ止まり,商店街の通行量は増加に転じている。和歌山市ではリノベーションスクールをこれまでに7回開催し,約200名が受講,提案の事業化が7件,受講生が携わり事業化されたものが10件,イベントの開催が3件と結果を出している。都城もリノベーション事業を平成28年度から実施しており,リノベーションスクールを年に1回開催し,今年で3回目の予定である。成果としてはまだ見えないため,取り組み方などの検証が必要であると考える。和歌山市のリノベーションまちづくりとは,今あるもの(遊休不動産,公共空間)を活かし,民間主導の公民連携が基本で,経済合理性の高いプロジェクトを興し,都市・地域経営課題を解決する。そして,印象的なことは,補助金に出来る限り頼らないということである。補助金によって不動産の流動化を妨げることになることや,成功する企業は補助金なしでも十分成功し,補助金がないとできない事業はいずれ息詰まるとあった。また,公務員が提案書見ても未来の業績を読むことはできないなど,補助金に対する考え方は参考になった。
(3)鳥獣被害防止の取り組みについて
篠山市の鳥獣被害状況は,都城市と比較しても特段低いという状況ではなかったが,参考にできる点が2点あった。1つ目は,サルとの共生である。個体数管理を行っており,1つの群れの頭数やまたそのなかのメスの頭数などを把握し,むやみに捕獲をするのではなく,共生という考え方で取り組んでいることである。都城では個体数の把握等はしていないため,共生という視点は反映できるのではないかと考える。2つ目は,イノシシやシカの捕獲後の処理である。全国的にジビエが注目されているが,篠山市でも民間の食肉加工施設への持ち込みを推奨し有効活用を促している。都城は埋没処理が多いため,さらなる活用ができることは参考にできる点である。
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