2021年9月議会
ただいま議題となりました議案第九五号「令和二年度都城市一般会計歳入歳出決算の認定について」のうち、九月二十二日に総務委員会が付託を受けた部分について、二十四日及び二十七日に委員会を開催し、審査を行いましたその経過及び結果について報告いたします。
審査に当たりましては、地方公会計の基準等に準拠しているか、予算の執行または事業が適正に行われているかなどに主眼を置き、所管の各部局長からの総括説明を求め、その後、各所管課からの説明を求めました。
最初に、総合政策部長から、本市の令和二年度普通会計決算についての総括的な説明を受けましたので、その内容について申し上げます。
まず、本市の普通会計は、一般会計と整備墓地特別会計から構成され、二つの会計間の繰入・繰出金等の重複する経費を控除したものであるとした上で、令和二年度の決算額は、歳入総額一千二百七十億一千二百五十二万二千円、歳出総額一千二百三十六億三千七百三万三千円となっており、令和元年度と比較すると、歳入が二百三十八億七千百四十八万九千円の増、歳出が二百二十九億二千九百四万二千円の増で、歳入・歳出ともに大きく上回ったが、その主な要因としては、新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、歳入では、国の特別定額給付金給付事業や、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の創設に伴う国庫支出金の増加、歳出では、特別定額給付金給付事業に要する経費のほか、プレミアム付スマイル商品券発行事業などの実施による増加が挙げられる、との説明がありました。
また、令和二年度の歳入から歳出を差し引いた形式収支については、三十三億七千五百四十八万九千円で、翌年度へ繰り越すべき財源を控除した実質収支は、十四億六千七百八十一万九千円の黒字となり、前年度の実質収支との差である単年度収支についても、三千五百六十二万六千円の黒字であり、この単年度収支に財政調整基金への積立金等を加え、基金取崩額を差し引いた実質単年度収支も、三千五百六十二万六千円の黒字決算となった、との説明がありました。
次に、令和二年度の普通会計決算における主な指標の説明においては、まず、自主財源比率について、前年度の五〇・七%から四二・五%と、八・二ポイント減少したが、主な要因としては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金等の国庫支出金や県支出金など、依存財源の増加によるものである、との説明がありました。
また、財政構造の硬直度や弾力性を示す経常収支比率については、前年度の九五・五%から九五・七%と、〇・二ポイント悪化しているが、これは、支出について、会計年度任用職員制度の導入に伴い、人件費に充当する経常一般財源の額が増加したこと、収入について、普通交付税の合併算定替の段階的な縮減に加え、地方税の減収に伴い経常一般財源が減少したことによるもので、引き続き、行財政改革に取り組み、経費削減の努力を継続する必要があると考えている。ただし、この経常収支比率の算出には、ふるさと納税等の臨時的な収入・支出は含まないため、この指標だけで本市の財政状況が危険ゾーンにあると判断するのは適切でないものと考えている、との説明がありました。
また、市債残高については、普通会計が七百五億百四十五万円と、前年度と比較して八億三千二百九十九万四千円減少しており、毎年減少してきている、との説明がありました。
また、地方公共団体の財政の健全化に関する法律により規定されている四つの指標のうち、資金繰りの程度を示す実質公債費比率について、前年度の五・二%から四・九%と、〇・三ポイント下がり、早期健全化基準の二五・〇%を大きく下回っている状況で、本市の財政状況は健全な状態にあると言える、との説明がありました。
続いて、各部局の審査の経過について、質疑及び委員間の自由討議があった部分を中心に申し上げます。
総合政策部の審査においては、都城市プレミアム付スマイル商品券発行事業に関して、複数の委員より質疑がありました。
まず、商品券の販売実績について質疑があり、執行部からは、用意した十万セットのうち、引き換えられた口数が九万四千五百九十六セット、率にして九四・六%であった、との答弁がありました。
また、不用額の内訳について質疑があり、執行部からは、不用額については、引換券をお送りしたものの、商品券への引換えがなされなかった分と、商品券に引き換えたものの、結果的に利用されなかった分の合計金額である、との答弁がありました。
本件については、委員間の自由討議も行われました。
一部委員より、都城市プレミアム付スマイル商品券の第一弾については、多くの方が購入されたものの不用額も多くなっている。これは、有効期限が令和三年二月末までであったため、新型コロナウイルス感染症が拡大している時期と重なっており、商品券を使いたくても使えない状態であったことも要因ではないかと考える。また、県のひなた食事券の期限が延長された経緯もある中で、本事業を繰り越して期限の延長を行うことも検討すべきではなかったかと考える、との意見が出されました。
これを受け、感染状況を踏まえつつ、期限の延長を検討できる状況であったかについて、再質疑を行いました。
これに対し、執行部からは、期限等の周知に関しては、店舗を含め幾度となく行っており、最終的な執行割合は約九五%となり、高い利用率であったと考える。また、県と連携した事業であったため、期限延長は難しく、当初の予定どおりのスケジュールで設定したものである、との答弁がありました。
総務部の審査においては、社会保障・税番号制度システム管理事業に関し、委員より、システムを通した個人情報の蓄積・連携・活用の進捗状況について、質疑がありました。
これに対し、執行部からは、情報の活用方法については、国が主導しているため詳細な説明ができないが、必要な情報の蓄積・連携は、随時進められている状況である、との答弁がありました。
本件については、委員間の自由討議も行われました。
一部委員より、社会保障・税番号制度システムについては、国によって、どこまでの情報が蓄積され、システム内で連携することになるのか、その方針や行程について、本市におけるシステム管理業務の執行状況を見る上で、把握しておく必要があるのではないかと考える、との意見が出された一方、別の委員より、現在でも、ある程度の情報は既に市のデータベースに入っていると思われ、そもそも、本市はシステムを運用していくだけで、使用する情報の範囲や情報の使い道に関しての決定権はないので、この場で議論すべきものとは思えない、との意見が出されました。
これを受け、確認のため、システムにおいて、現時点で確実に蓄積されている情報は何か、との再質疑を行いました。
これに対し、執行部からは、蓄積されている情報として、確実に言えるのは、最新の住民票に記載された住所・氏名・性別・振り仮名等の基本的な情報のみである、との答弁がありました。
高城総合支所地域振興課の審査においては、地域活性化事業の高城まちづくり委員会活動推進事業に関し、執行部より、本事業は、郷土愛を育むことを目的とし、ドローンで撮影した高城地区の風景や観光名所の3D動画を使い、地域のイベント等でバーチャル映像体験をしてもらうためのVRゴーグル十台を導入するための補助金を交付したものである、との説明がありました。
委員より、利用実績及び市民の評価について質疑があり、執行部からは、令和二年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、一団体三十六名のみの利用だったが、令和三年度に入ってからは、六団体、計九十七名の利用申込みがあり、特に、子供たちから大変好評を得ているところである。なお、利用の都度、ニーズ調査を行っており、今後も、ニーズに合わせたコンテンツを制作し、地域内での積極的な利用を促していきたいと考えている、との答弁がありました。
採決に当たり、一部委員より反対討論があり、人件費について、会計年度任用職員制度の導入により増加したことが分かったが、会計年度任用職員は不安定な雇用形態であり、専門性を持った正職員を増やすべきと考える。また、社会保障・税番号制度システム管理事業については、個人情報が、本人の同意なく目的外使用されるおそれが払拭されず、個人情報保護の観点から不安が残る。さらに、都城市プレミアム付スマイル商品券発行事業については、八千七百四十一万円もの不用額が生じているが、新型コロナウイルス感染症が拡大している状況で券を利用できなかったという市民の声が多数ある中、事業を繰り越してでも、しっかりと利用してもらうべきだったと考える。以上の三点の理由から反対する、との内容でした。 一方、別の委員より賛成討論があり、決算内容全般について、行政改革の下、無駄な予算執行の状況は見受けられない。また、社会保障・税番号制度システム管理事業については、本事業によって、個人情報の漏えいの危険性が増すというものではないと考えるし、個人情報の保護については、個人情報保護条例においてしっかり規定されている。さらに、都城市プレミアム付スマイル商品券発行事業については、令和三年二月末が使用期限である旨は、テレビ・ラジオ等も使って再三周知されていたし、そもそも、予算審査の際にも説明されていたことであり、単年度主義に鑑みても、妥当な判断であると考える。以上のことより、総合的に見て、不認定とするだけの相当な理由が見当たらないため賛成する、との内容でした。
以上が、審査の経過であります。
採決の結果、議案第九五号については、委員長を除く六名の委員中五名の賛成により、賛成多数で認定すべきものと決定しました。
ここで、本委員会からの意見・要望を申し上げます。
まず、地域活性化事業についてです。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、地区によっては、予定していた事業を中止せざるを得なかったり、そもそも、事業の立案すらままならないなど、様々な影響が出ているようです。
また、毎年、各地区の特色を生かした事業に取り組んでいただいておりますが、長年取り組んできた実績として、全市で取り組むべき、地域活性化につながった成功事例と言える事業があることも分かりました。
そこで、事業推進に当たっては、市のサポート体制を強化しつつ、新型コロナウイルス感染症の影響に配慮した、柔軟かつ的確な対応を取っていただくとともに、今一度、補助制度の在り方について精査していただきたいと考えます。
その上で、成功事例については、そのノウハウを他地区にも還元し、全市に取組が広がるような仕組みづくりも検討しながら、各地区の事業内容の充実を図っていただき、更なる特色のあるまちづくりに努めていただくよう要望します。
次に、本市の防災対策についてです。
近年、地球温暖化等の影響により、自然災害の脅威は増大しており、本市においても、いつ何時、大災害に見舞われるか分からない状態です。市内の各地域においては、公民館単位での自主防災組織の結成や、地域活性化事業を活用した体制整備など、様々な防災対策の推進が図られているようですが、さらなる市全体の防災意識向上と防災力の強化につなげるべく、行政として、これらの取組の再点検と総括を行った上で、防災関連事業の充実を図っていただくよう要望します。
これをもちまして、総務委員長の報告といたします。
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