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執筆者の写真いっとく

観光政策~庄内の観光資源~

更新日:2022年4月22日

2018年6月議会

(1)インバウンド対策事業の状況

(2)内地区の関之尾や石垣の観光資源の利活用

(3)歴史まちづくり法の活用

(4)都城市の観光ビジョン


【背景】

歴史文化研究会議員連盟で、庄内地区まちづくり協議会の方と協議し、庄内の観光資源の視察を行いました。また都城の観光地である関之尾の滝でボランティアをしている団体からの意見を伺いました。関之尾の滝は都城で誇るべき観光資源であるが、その維持に関しては、地域の方による力が大きい状況があったため、市でやるべきことを明確にし、市の方針を伺うことにしました。


(1)インバウンド対策事業の状況について

【質問】

日本を訪れる外国人旅行者数は増加の一途をたどり、海外からの誘客を促進することが観光の発展に欠かせない状況です。昨年10月に本市では観光協会と連携して、台湾にターゲットを絞って、現地を訪問し観光客誘致のためのセールスプロモーションが実施されています。

質問します。セールスプロモーションの内容を教えてください。

【答弁】

平成28年度に引き続き,平成29年10月に2度目の台湾訪問を行いました。台湾の主要旅行エージェント2社,宮崎空港に定期便を就航している中華航空,中華民国旅館組合を訪問し,ミートツーリズムツアー造成補助金について説明しました。また,5社の旅行エージェントに対し,都城市主催の商談会を実施しました。さらに,旅行エージェントや旅行雑誌社等も含めたレセプションにおいて,市長のトップセールスを行いました。


【質問】

油津港に寄港するクルーズ船は年間22隻程度寄港しているとのことです。日南市の話では,観光客が直接日南市で消費する金額は,大型クルーズ船1隻あたり約4000万円で,外国からの大型クルーズ船による平成28年1年間の消費額は、あわせて約6億8000万円に上るとあります。

質問します。油津港に寄港するクルーズ船の観光客の状況をおしえてくさい。

【答弁】

油津港に寄港するクルーズ船の外国人観光客が本市へ来訪された実績につきましては,平成29年度は,バス12台で約420名の来訪者がありました。今年度は,4月6日に台湾からのクルーズ船観光客がバス15台で約600人来訪いただいております。日南市を中心に県内10市町で「宮崎県南部広域観光協議会」を設立しており,現在,クルーズ船による海外観光客の積極的な受け入れを図っています。


【質問】

クルーズ船観光客は島津邸とイオンを訪れたと聞いております。外国人観光客が滞在したくなる魅力ある都城になれば,経済効果は高いと考えられます。

質問します。インバウンド対策事業について,今後の計画等を教えてください。

【答弁】

本年度も台湾で,市長トップセールスを実施し,旅行エージェントに対し,新たな観光プランやメニューを提示するなど積極的な商談を行う予定です。また,これまでのトップセールスの在り方や成果などを検証するとともに,同行された観光関係者からもご意見をいただきながら,今後のインバウンド対策に反映させ,観光誘致に取り組む企業,観光関係者との連携を図っていきたいと考えています。


(2)庄内地区の関之尾や石垣の観光資源の利活用について

【質問】

庄内地区では,観光に関する整備をまちづくり協議会が実施している部分があるときいています。

質問します。観光地の予算において,行政が担う部分とまち協が担う部分はどのようになっているのでしょうか。

【答弁】

関之尾公園内の整備としましては,昨年度,市では公衆トイレの洋式化と案内看板等の多言語化表示に取り組んだところです。一方,まちづくり協議会では,関之尾滝入り口の東屋の建設や夏季における関之尾滝のライトアップ事業等に取り組んでいただいております。まちづくり協議会は,地域住民の視点から,特色を活かした地域づくりに取り組んでいただいているところです。

【質問】

関之尾むかえびとの会は観光ボランティアを実施している団体です。ゴールデンウィークも観光ボランティアを実施しておりました。私が行ったときは,山口県から起こしの高齢の夫婦を案内しており,男性の方は盲目で案内があったことで,非常に喜んでおられました。ボランティアの方は年会費1000円を支払い,休日に手弁当でボランティアを行っている状況です。収入源として郷土料理講習などを実施して収入を得ている状況ですが,保健所の指導により,従来の施設では実施が難しい状況があるようです。現在12名で活動されておりますが,今年は1人やめられたそうです。

質問します。観光ボランティアに対する支援はどのように考えておられるのでしょうか。

【答弁】

関之尾むかえびとの会は,ボランティアガイドとして,関之尾公園内の観光案内に努めていただいており,今年度発足10周年を迎えられました。昨年度は,1714名のお客様のご案内をしていただきました。市では,むかえびとの会が企画される研修会やウォークラリー等のイベントへの支援を行っております。また,観光ボランティアガイドの予約業務等は,観光協会が行っております。


【質問】

関之尾の甌穴群は,その数と規模が世界一と言われ地質学的にも非常に重要であるとして,昭和3年に国の天然記念物に指定されています。また,関之尾の滝は昭和33年に母智丘関之尾自然公園として県の指定を受け,平成2年には日本の滝百選にも選定されています。平成22年には霧島連山が日本ジオパークに認定され,関之尾公園もその区域として登録されています。これだけの観光資源があるにも関わらずハード面の設備は30年前とあまり変わっていないように感じます。しかし,都城において多くの観光客を呼ぶことのできる資源の一つであると考えます。

質問します。ジオパークである関之尾の利活用をどのように考えておられるのでしょうか。

【答弁】

関之尾滝は,ジオサイトにも登録され,多くの観光資源を有する,本市を代表する観光地の1つであります。本市では,霧島ジオパークを巡るジオトレッキングツアーを開催しています。また,都城観光協会や庄内まちづくり協議会等が主催して,幅広い年齢層に応じた様々な体験型イベントを実施していただいております。最近の取り組みとしては,インバウンドに対応したWi-Fi環境の整備や案内看板等の多言語化表示,トイレの洋式化を実施し,環境整備を図っております。今後も,現在の取り組みを継続しながら,観光地の魅力を高め,更なる誘客ができるよう関係機関と連携を取りながら利活用を図っていきたいと考えております。

【提言】

関之尾の観光地としての維持は,まち協やボランティアによって成り立っている部分があります。国を代表する資源であるため,しっかり手を入れるべき所は手を入れ,また,関之尾緑の村の研修センターやケビンなども改修を実施し,魅力あるジオパークを目指すよう提言します。


【質問】

文化財について伺います。各地でまちの再開発が進む一方、古き良き景観は失われつつあります。趣きのある家が消えてしまったり、管理の行き届かなくなった建物が取り壊されたりと、身近な懐かしい風景が変化していった経験を誰もがしてきているのではないでしょうか。こうした長い歴史の中で、人と密接に関わりあいながら、文化によって生み出されたものを"文化財"と呼び、価値あるものを未来へ継承していく方法として、「文化財保護法」が制定されました。本市の国の登録有形文化財として,今回新に庄内地区にある2件の文化財が登録されます。

質問します。登録文化財を今後どのように活用していくのか教えてください。

【答弁】

庄内地区の登録有形文化財につきましては,現在いずれも個人や宗教法人の財産として利活用されております。本市としましては,市のホームページや文化財に関する刊行物等を活用して,登録有形文化財の情報発信等に努めてまいりたいと考えております。


【質問】

今回登録文化財になったことで,登録された建物に関しては国から一部補助がでることと思いますが,庄内地区には石垣が50ヶ所以上あります。維持し続けるには費用が掛かります。土地建物の後継者がおらず,売りに出されたり,壊されたりする現状があるようです。

質問します。今回登録されたもの以外の石垣などの街並みの保全について何か考えておられるでしょうか。

【答弁】

庄内地区に所在しております,今回登録されたもの以外の石垣群につきましては,平成16年から17年度にかけて県教育委員会が行った,近代和風建築の総合調査において調査されました。しかしながら,重要物件には選定されず,登録有形文化財の申請候補になっておりません。従いまして,今のところ文化財保護法による保全は難しいと考えております。


(3)歴史まちづくり法の活用について

【質問】

宮崎県では,平成25年11月22日に日南市が県内で初めて,九州で4番目に歴史的風致維持向上計画が認定されています。認定されれば,重点区域を設定し、その中にある未指定の建造物でも重要な役割を果たしているものについては「歴史的風致形成建造物」として復原や修理、買収などを補助事業で行うことができるようになります。そして、その周辺にある建物などが歴史的風致を損なっている場合に、それを修景したり、老朽化していれば取り壊したりする事業にも補助がだせるようになります。また、祭りなど伝統行事の活性化を支援するなどソフト事業も補助が出せることになっています。庄内には登録文化財の他,県指定の無形文化財であるくまそ踊りなどもあります。

質問します。庄内地区の保全に,この歴史まちづくり法の活用の検討について考えをお聞かせください。

【答弁】

「歴史まちづくり法」の正式名称は,「地域における歴史的風致の維持向上に関する法律」であり,歴史的に価値の高い建造物等で構成される良好な市街地の環境を維持,向上させ,後世に継承するために,平成20年に施行されたところです。この法律の適用の前提として,重点区域を必ず設定する必要があり,それには中核となる国重要文化財等の建造物が必要であるため,現在のところ,庄内地区におきましては,「歴史まちづくり法」の活用は検討はなされていない状況にあります。


【質問】

この歴史まちづくり法を担当している省庁は3つあり,その中の1つである国土交通省 都市局 公園緑地・景観課 景観・歴史文化環境整備室に歴史まちづくり法を活用する手立てがないか聞いてみました。すると興玉神社内神殿が国指定の文化財となっており,それを起点にできるのではないかと返答をいただきました。

質問します。重点区域として国指定文化財の興玉神社内神殿を活用し,庄内地区をはじめとする都城の歴史文化の保全を図ることはできないでしょうか。

【答弁】

重点区域が設定されている全国の事例を見渡しますと,京都府京都市や石川県金沢市など,歴史上重要な建造物群を中心として,そのまわりに伝統的な家屋が立ち並ぶような都市が計画認定を受けているようです。従いまして,興玉神社内神殿単体では歴史的風致とは呼べず,重点区域の設定は難しいと考えております。


【質問】

歴史まちづくり法の重点区域には重要文化財の他に史跡名勝天然記念物と重要伝統的建造物保存地区,略して重伝建があります。関之尾の滝の上流に天然記念物である甌穴群があり,庄内川の左右両側に「南前用水路」があり、現在も下流の田畑を潤しています。他に北前用水路や前田用水路などの建造物があります。5月から6月は川の水を田んぼに引くため川の水量が減り、より多くの甌穴群がみられます。

質問します。重点区域として天然記念物の甌穴群などを活用して,庄内地区をはじめとする都城の歴史文化の保全を図ることはできないでしょうか。

【答弁】

重点区域の核として設定できる文化財は,「重要文化財,重要有形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物として指定された建造物」であります。関之尾の甌穴は天然記念物であるため,重点区域の設定はできません。


【質問】

歴史まちづくり法の重点区域には先ほど述べたように重伝建の活用があります。日南の飫肥や日向の美々津なども重伝建を活用しています。重伝建は国が選定をしますが,その前に市が伝統的建造物保存地区として指定する必要があります。最近では,平成29年11月28日に大分県杵築市北台南台が選定されています。杵築市では都市計画決定により町並み保全を開始してから約10年かかっていますが,他の市町村では数年で選定されているところもあります。

質問します。伝統的建造物保存地区の指定の検討について考えを教えてください。

【答弁】

本市にも歴史的建造物はありますが,単体でしか残っていませんので,伝統的建造物群保存地区としての検討はなされたことはございません。


【質問】

都城は肉と焼酎で全国,世界に知られるようになりました。しかし,肉や焼酎は都城に来なくても味わうことができる時代です。都城を選んでもらうには,都城にしかない自然や歴史文化を観光資源として磨かなければなりません。自然としては,関之尾のジオパークがあります。市外県外に誇れる歴史文化としての観光資源が1つは欲しいと感じるところです。歴史まちづくり法の重点区域として核にできるものは,重要文化財,史跡名勝天然記念物,伝統的建造物群の3種類あります。国の重要文化財である興玉神社内神殿を活用する方法,天然記念物である関之尾の甌穴群を活用する方法,伝統的建造物群を指定して活用する方法,いずれも厳しい状況であると伺っております。そこで歴史まちづくりの担当省庁の1つである文化庁 文化財課 伝統文化課 文化財保護調整室に尋ねましたところ観光資源を再発掘するためにも,歴史文化基本構想の策定をまずしてくださいと言われました。

質問します。歴史文化基本構想策定の検討をどのように考えておられるでしょうか。

【答弁】

今年6月1日に,文化財の次世代への確実な継承に向けて,文化財保護法の一部改正が成立し,来年4月1日から施行されることとなりました。その中には,地域における文化財の総合的な保存・活用や,地方における文化財保護行政に係る制度の見直しが含まれております。また,従前の歴史的文化基本構想の推進とともに,新たな文化財の保存活用の地域計画の策定につきましても,国が改めて指針を示すこととなっております。今後,これらの新たな制度や事業の情報収集を図り,県と連携しながら新しい制度のメリットを生かして,市内の文化財の保存活用に努めてまいりたいと考えております。


(4)都城市の観光ビジョンについて

【質問】

市のホームページで観光の部分では,市外の方向けのページがあります。しかし,実用的でないものが掲載されたりしています。肉と焼酎としてミートツーリズム。自然としてジオパーク関之尾。歴史文化として,庄内地区や島津邸など。温泉として青井岳やゆぽっぽ,ラスパ高崎や観音池など。これらの資源を点ではなく線で結ぶような魅力ある観光ルートの提示が必要ではないでしょうか。

質問します。観光モデルルートについてどのように考えておられるでしょうか。

【答弁】

市のホームページや観光パンフレットで,周遊コースの紹介等を行ってまいりましたが,今後はミートツーリズムを中心とした,宿泊を伴う滞在型観光を推進したいと考えております。そのために,これまでの観光施設をつなぐルートに体験型のメニューを加えた,より魅力的な新しいモデルルートを作成したいと考えております。


【質問】

質問します。今後の観光ビジョンを教えてください。

【答弁】

平成26年度に策定した都城PR戦略プランの中で,観光についても位置づけ,それに基づき,観光事業の推進に取り組んでいます。このプランは平成31年度までの計画であるため,これまでの事業の検証を行い,観光関連団体等のご意見を伺いながら,32年度からの次期プランに反映させていきたいと考えております。

【提言】

歴史文化基本構想の推進を行い,文化財の利活用を図りながら,魅力ある都城の観光事業を推進するよう提言します。

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