2020年3月議会
加齢性難聴者の補聴器購入に対する補助制度の創設を求める意見書 について 反対の立場から討論いたします。
反対の理由として5点あります。
1点目は,難聴は40歳から始まり,70歳以上の半数が加齢性難聴と言われておりますが,老眼は20歳から始まり,60歳以上の8割が老眼であると言われております。また,人間は五感から情報を得ておりますが,視覚からの情報が8割と言われており,よって補聴器よりも眼鏡に対する補助の方がより多くの市民に恩恵があることです。
2点目は,聴力低下は,認知症の危険因子といわれております。しかしながら,ランセット国際委員会において,言われていることは,45歳から65歳までの聴力低下についてです。つまり,この年代の補助を行うことが認知症の予防として効果的であることです。高齢になれば,視力,聴力は自然と低下し,加齢性難聴の要因と認知症の要因は,糖尿病や,高血圧,社会的孤立など重なっており,相関関係はありますが,因果関係であるとは言われておりません。
3点目は,本市は,補聴器相談医2名,認定補聴器技能者のいる業者は3つであり,補聴器についての専門的な知識と技能を持つ方が少ないことです。補聴器相談医制度は,難聴者がそのコミュニケーション障害に有効な補聴器を適正に選択して使用できるように対応することを目的としています。また,補聴器相談医を受診することで,医療費控除を受けられる可能性があります。日向市や小林市でも補聴器相談医が3名おりますが,本市はそれより少ない状況です。補聴器の補助がついても適切なアドバイスができる医師がいないのでは意味がありません。先に専門医の体制を整えることが必要があります。
4点目は,補聴器をつけていないことで怒られる高齢者を見かけることが多いことです。介護者からしても,相手に伝わらないことでストレスになりますが,相手を思いやり,ゆっくりはっきりと話すことが大切です。今年度,都城市手話等コミュニケーション手段の普及と利用促進に関する条例が上程されました。その背景には,「全ての市民の意思疎通が円滑に行われ,互いに人格と個性を尊重し合いながら,共に生きる社会を実現する」ことがあります。この条例のように相手の状況を考え,いたわることのできる環境づくりが先に必要であると考えます。
5点目は,新型コロナウィルスが猛威を振るっており,経済に大きな損害を与えております。都城も例外ではなく,多くの企業や市民が不安を抱えており,補聴器への補助よりも,働く世代支援への支援の方が急務であると考えます。
以上の点から,
議員提出議案第 号
加齢性難聴者の補聴器購入に対する補助制度の創設を求める意見書に反対いたします。
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