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執筆者の写真いっとく

農業政策~スマート農業~

2020年3月議会

(1)スマート農業を導入するための条件

(2)農地集積の状況

(3)スマート農業導入後の課題


【背景】

農林水産省は新たな農業を実現するためにスマート農業を推進しております。スマート農業とは,ロボット技術やICTを活用して,超省力・高品質生産を実現する等を推進している新たな農業のことです。日本の農業の現場では,課題の一つとして,担い手の高齢化が急速に進み,労働力不足の深刻化をはじめ,耕作放棄地の増加や食料自給率の低下など様々な問題を抱えており,本市都城市も例外ではありません。そこで,スマート農業を活用することにより,農作業における省力・軽労働化をさらに進められる事ができるとともに,新規就農者の確保や栽培技術力の継承等が期待される効果となります。本市においても,3つの宝の1つとして農畜産業の振興を掲げており,その中にスマート農業促進事業費が予算計上されております。


(1)スマート農業を導入するための条件について

【質問】コスト面の問題として,経済性を評価する仕組みが整っていないこともあり,農業機械市場が小さく規模の経済が働きにくいため農業機械の価格が下がりにくい可能性があります。そのため,費用対効果の見通しが不透明であり,農業者が導入をちゅうちょすることになっています。また,機械の導入資金の調達も困難となる可能性もあります。そのため,農業者に対し具体的に費用対効果を提示することが求められています。また,農業分野では,他の分野と比較しICT化が進んでいない分野であり,サポート体制の強化も課題として考えられます。本市でも,昨年4月から,データ処理やロボットなど最先端の技術を活用したスマート農業の実証プロジェクトに取り組んでいる農業法人があります。プロジェクトは2年間で,実証面積は18ヘクタール,遠隔操作で無人でも動くロボットトラクター1台,直線走行を正確に行う自動操舵補助トラクター2台,リモコン式の草刈りロボット1台,ドローン1機など導入しているようです。この話を聴くと,すごいと思うと同時に個人農家では導入は厳しいように感じます。実際に農業に従事している人たちが求めているものと,推進されているスマート農業との間にはギャップがあるようにも見えます。

質問します。多くの農業者がスマート農業を導入するには,まだ,敷居が高いように考えられますが,どのような農業者が導入したら効果がでるのでしょうか?

【答弁】

スマート農業には,トラクターや田植え機などの自動運転による農業用機械や人手に頼っていた作業のロボット化,畜産部門におけるICT等を活用した飼養管理システム,農地やハウス内外の環境をセンサーで測定し,作物の生育環境管理を行うものなど様々な技術やサービスがございます。スマート農業を活用することにより,農作業における更なる省力化,農作物の高品質化や多収量が図られるとともに,熟練農業者の技術を若手農業者等に技術伝承することも可能になり,農業分野への新規参入や新規就農者の確保等の効果が期待できると考えられます。それらを踏まえますと,現時点では栽培や肥育など生産技術が確立された分野で,大規模化を図りたいと考える事業者の導入効果が期待できると考えております。まずは,市や県,農機メーカー等が開催するスマート農業セミナーや展示会等において,最新技術の情報収集を行い,事業者地震の農業経営ビジョンにおいて採用すべき必要な技術やサービスを見極めた上で,経費面での検討を重ねながら,計画的な機器等の導入に繋げることが重要である

【提言】

大規模化を図りたいと考える事業者の導入効果が期待できるとのことですが,大規模化のためには,農地集積も条件の1つになってくるかと思います。


(2)農地集積の状況について

【質問】

先ほども例をあげましたが,スマート農業のを代表するものに,自動走行トラクターがあります。これは,誰でも熟練者と同等の精度・速度で作業を行うことができるようになるほか,作業に係る疲労が軽減され,より広い面積での作業が可能となり,超省力・大規模生産の実現が見込まれています。人手不足が深刻な地域における農業生産の維持にも期待されております。本市においては,自動走行トラクターを導入できるような農業経営体は少ないと考えますが,ICTを搭載した大型トラクターの導入は少しずつ進んでいるようです。スマート農業のメリットの1つに圃場の拡大を行い,収量のアップがあるのですが,本市では小さな圃場が多く,まずは,農地集積を行い圃場整備を行う必要があると考えます。

質問します。スマート農業の1つである自動走行トラクター等の大型トラクターを導入する場合,農地集積も課題の1つであると考えますが,都城の農地集積状況はどのようになっているのでしょうか?

【答弁】

農地を集積するために利用できる事業としまして,農地中間管理事業や農業経営基盤強化法による利用権設定促進事業がございます。本市の農地中間管理事業を活用した農地集積状況につきましては,令和2年1月末申請時点の市全体の耕地面積は,約1,679ヘクタールで,約13.4%の集積割合となっております。


【質問】

政府は、「令和5年に日本の全耕地面積に占める認定農業者等による耕作面積の集積率を8割にする」という目標を掲げています。農水省が出している農地中間管理機構の実績等に関する資料によると,平成31年3月末時点で,宮崎県は担い手農家への集積率は48.3%のようです。しかしながら,宮崎県の集積率48.3%は,全国の中央値より高いものの平均値よりは低い値となっております。先ほどの約13.4%というのは,農地中間管理事業を活用しての値ということで,まだ集積率は高いのではと考えるところです。集積するための事業がいくつかあるようです。

質問します。農地を集積するために利用できる事業がいくつかあるようですが,それらの利点欠点はどのようになっているのでしょうか?

【答弁】

農地中間管理事業の利点としましては,農地の借り手と貸し手の間に,農地中間管理機構が入ることで,賃借料の支払いや受取りの簡素化が可能となり,効率的な営農及び生産性の向上が期待できる点があげられます。一方,欠点としましては,農地中間管理機構の利用権を設定するためには,該当農地が相続物件である場合,相続人の過半数の同意を得る必要が点があげられます。利用権設定促進事業の利点としましては,貸し借りに伴う農地法上の許可が不要となり,契約期間終了後は,農地は貸し手へ自動的に返却されます。また,売買を伴った場合は,売り手側,買い手側ともに税制上の特例措置が受けられます。一方欠点としましては,受け手側の農家には,経営面積や農業従事に数などの要件が必要な点や農地の集約を伴う場合は,一定の時間を要する点がなどがあげられます。


【質問】

質問します。集積に関しても課題がいくつかあるようですが,集積と同時に取水についても考慮する必要があると考えられます。パイプラインなどの整備を同時に行う補助等はないのでしょうか?

【答弁】

農業機械の作業効率向上のための農道拡幅や畦畔除去,用排水路のパイプライン化の整備を行う国県補助事業がございます。その一つとして,圃場整備等により基盤整備を行う国の農地整備事業がありますが,担い手農家への農地集積率が一定割合以上に増加することが見込まれることや,受益面積が20ヘクターーる以上を要件とするものとなっております。その他にも,事業規模等に応じた補助事業がございます。

【提言】

実際,補助率や費用負担割合などが違うということは,担い手農家の方からも伺っており,相談されることもあるところですが,事業の違いによるメリット,デメリット,事業規模等に応じた補助事業があり複雑だということを理解しました。個々への対応とモデルとなるような集積実績を複数出すような取組を期待しています。


(3)スマート農業導入後の課題について

【質問】

導入時にもコスト面の課題がありましたが,導入後には,作業者の育成であったり,環境面の課題もあるように感じます。ロボットやAI技術はとても便利ですが,利用する側がそれらを操作したり理解したりできなければ,活用するのが難しくなります。機器やサービスを活用できなければ,導入した意味をなさないと考えます。また,ICTを活用した大型トラクターを導入した場合,農地集積が進み,圃場整備ができたとしても,車庫から圃場までいくには,道路が関わってきます。狭い市道を通行すると交通の妨げになると苦情があり,大型トラックが行きかう大きな道路を通行すると事故にあいそうな危険な場面もあるそうです。

質問します。大型トラクター等の導入後の課題としてどのようなものがあるのでしょうか?

【答弁】

自動走行トラクター等の導入後の課題としましては,導入機器が能力を最大限に発揮するための農地の大区画化や集積・集約化,農作業道の整備及び用排水路の管渠化等スマート農業機械等に対応した基盤整備が必要になると考えます。また,一人当たりの作業面積が拡大し大規模化する反面,トラクター作業以外の播種から収穫までの一貫した作業工程におけるスマート農業技術の構築が必要と考えます。さらに,スマート農業の推進には,スマート農業技術を使いこなす人材の育成も不可欠です。この人材の育成には,あらゆるスマート農業技術を使いこなせる農業者はもちろんスマート農業の普及を行う行政職員や営農指導員,そして専門知識を有する農機メーカー等の技術者など,各分野での人材育成が必要であり,官民一体となった取組が重要であると考えております。これらの課題解決に向けて,日々進歩するスマート農業技術の開発状況を注視しながら,就農者の減少が続く,本市農業者にとって必要不可欠な技術の一つとしてスマート農業の普及定着に向けて取り組みたいと考えております。

【提言】

課題として,農地集積化等や農作業道の整備等の基盤整備のハード面と,スマート農業技術を使いこなす人材の育成というソフト面があるようです。都城の農業のさらなる発展のために,スマート農業でモデルとなるような農業者を複数出すことが望まれると考えます。複数でることで,他の農業者も続いていくのではないでしょうか。モデルとなるような支援を行うとともに,官民一体となった取組を行うよう提言します。

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