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執筆者の写真いっとく

農業政策~6次産業化~

更新日:2022年4月22日

2019年3月議会

(1)6次産業の現状

(2)みやだいず

(3)ジビエ

(4)ふるさと納税の使い道


【背景】

宮崎県内には,H30年1月時点で,778の農業法人があり,その内都城には約180の農業法人があります。778法人の内356法人が畜産関係で,残り422法人が耕種関係,100ha以上ある法人が11法人,内7法人が都城市内,さらに200ha以上となると6法人であり,内4法人が都城市内だそうです。このように都城は県内でも有数の農業産出の都市といえます。集落営農を行うある農業法人に行き,話を伺いました。「地域の農地・農業は地域のみんなで守ろう」という設立理念のもと,5つのスローガンを掲げていました。「集落のみんなで大切な農地を守り,農業・農村を活性化させよう」,「人の輪と地域の和を大切に守り続けよう」,「地域農業の担い手を育てよう」,「子どもたちに夢を語り,輝きのある農業を引き継ごう」,「みんなが活き活きと生きられる地域社会づくりを進めよう」これらのスローガンには,農業に携わる方々の強い思いを感じたところです。集落営農には,雇用創出や所得向上の役目があり,80歳以上の方も働いておられます。外から見ると人によっては,その状況を非難される方がいますが,現場を見ると,働く仲間と会話を行い,体を動かすことで,健康にもつながり活き活きとされております。雨の日は作業ができないため,休みとなることもあり,まさに晴耕雨読というような生活を送ってらっしゃるかたもおり,少しあこがれる部分があります。しかし,子育て世代にとっては,雨天でも作業を行い,安定的な所得につなげたいという思いがあります。それを実現させてくれる方法の1つが6次化だと考えられます。


(1)6次産業の現状について

【質問】

国も,もうかる農業として6次産業を進めており,実現可能であれば実施したいという方は数多くいます。六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画認定事業者の中で都城市内の認定者数は,H23年:6事業者,H24年:5事業者,H25年:4事業者,H26年:2事業者,H27年1事業者,H28年,H29年はなく,H30年2事業者という状況です。また,新商品発表会では,数も少なく顔ぶれもあまり変わらないという話もあります。

質問します。6次産業で商品化された数や,支援の状況はどのようになっているのでしょうか。

【答弁】

六次産業化の推進により,農林畜産物の新たな付加価値を生み出し,農林畜産業者の所得の向上等を実現することを目的に平成25年度に六次産業化推進事務局を設置し,様々な取組をしてまいりました。商品開発に関するものとしては,機械や施設の整備,パッケージの開発等に係る経費に対する補助事業や,商品力向上セミナー,食品表示セミナーの開催などを実施しており,平成31年1月末までに141件が商品化されております。その他の取組といたしましては,農林畜産業者や商工業者,行政,関係団体,学術研究機関で構成するはばたけ都城六次産業化推進協議会を設置し,六次産業化推進に係る各段階ごとの支援を行っているところです。また,今年度からは,市職員自らが,東京や福岡等の大都市圏の百貨店や大手卸売事業者への営業活動を行ったり,事業者と共に展示商談会や催事に出展したりする営業力強化対策事業にも取り組んでおります。


【質問】

全国を見ると成功事例がいくつもあるのですが,それと同時に製品化が目的となってしまい,失敗例もいくつかありようです。都城は6次産業で成功しているというような話を伺うことがあります。現在,6次化を行った事業者は成功しているのでしょうか。始めたばかりの事業者の成否はわからないと考えられますが,数年経過している事業者の結果はでていると考えられます。

質問します。早い段階から取り組んでいる事業者が成功しているのかをおしえてください。

【答弁】

6次産業化に取り組んだ事業者すべてについての所得の変化等の把握はしておりませんが,補助事業の活用事業者については,事業実施後5年間の所得状況の調査を行っております。その結果を見ますと,機械・設備の導入等により,安定した生産量の確保,商談の成立などの効果が見られ,概ね,所得は向上の傾向にあります。また,新規雇用につながっている事業者もみられるところでございます。


【質問】

多くの農業関係者には,6次化に魅力や興味があるところですが,個人農家には敷居が高いようです。加工施設を作りそれだけ元がとれるのか。大手は個人農家の製品をなかなか買ってはくれない。HACCPなどの安全管理ができていなければいけない。また,農業者には営業のノウハウがない。このように6次化には,加工施設の壁,安全管理の壁,流通拡大の壁など様々な壁があるようです。

質問します。市はどのような支援を行っていくのか教えてください。

【答弁】

個人農家への支援についてですが,加工施設においては,導入費用や加工技術のノウハウの低さがハードルとなる場合があるため,委託可能な加工事業者の紹介等を行っております。安全管理につきましては,食品の製造工程において,衛生・品質を管理するシステムであるHACCPや食品表示などに関するセミナーを開催するなど,衛生管理や安全管理についての支援を行っているところでございます。また,流通の拡大につきましても,個人農家が市場にリートを確保することは困難なことから,市職員が商品を預かり,展示商談会への出展や量販店への売込みなどの営業活動を行うケースもございます。

【提言】

加工施設においては,佐土原に宮崎県食品開発センターにはフード・オープンラボというものがあり,試作品開発や試作品販売ができるそうで,都城の方も利用している現状があるようで,今回検討されている物産拠点施設においても,そのようなことができるようになれば,より6次化に取組みやすくなると考えます。流通拡大においては,市職員の方の展示商談会での営業は非常に助かっているという声を聞いています。しかし,肉と焼酎,きんかんなどの果物以外は宮崎らしさがないと言われたりしているようです。事実,ふるさと納税をはじめ,ホームページ等には,本市の肉以外の6次化の商品がなかなか見つかりません。是非,市の公式オンラインショップにおいては,そのあたりも考慮していただきたいと考えるところです。


(2)みやだいずについて

【質問】

12月の広報誌において,みやだいず物語はじまるという記事が掲載され,興味を持たれた方もいます。都城の在来種ということで,牛,豚,鶏に次ぐ畑の肉としてプロジェクトが始まったとありました。

質問します。製品化に向けての取組状況について教えてください。

【答弁】

平成30年度に生産者,加工業者,宮崎大学,JA都城,宮崎県,市等が一体となって,みやだいずを活用しての地域活性化に取り組む「みやだいず地域おこしプロジェクト」を発足させ,その中で,みやだいずの製品化に向けて取り組んでいるところです。現時点で商品化されているものは,煎り大豆や蒸し大豆,みそなど7商品となります。また,豆

腐や豆乳アイス等の試作も行っているところであり,今後も随時,商品のラインナップは増えていくものと考えております。


【質問】

豆腐については,現在フクユタカとまぜて国産豆腐として販売しているようです。みやだいずの供給量が増加すれば,みやだいずブランドでの販売も可能という話を伺っております。みやだいずの活用し商品化して販売するには,フクユタカなどの他の国産大豆との差異があると有効であると考えます。

質問します。成分状況や特性などはどのようになっているのでしょうか。みやだいずの良さを教えてください。

【答弁】

本市は今年度,宮崎大学と包括連携協定を締結いたしましたが,協定に基づく具体的な事業の一つとして,都城産農林畜産物における付加価値向上と生産拡大プロジェクトがあります。その一環として,みやだいずの成分分析を行い,イソフラボンの値を測定いたしました。現在みやだいずは,沖水地区の3農業生産法人で栽培されておりますが,圃場によっては,主流の品種として栽培されているフクユタカに比べ,高いイソフラボン含有量をしめしております。イソフラボンを含む食品は,機能性食品としての注目度があがっているところですが,宮崎大学によりますと,イソフラボン含有量は遺伝的な要因とともに,栽培環境にも左右されるところです。今後は優良種子の選抜を行うとともに栽培技術の確立を図り,品質の確保及び収量の安定を目指すことで,本市在来種の復活というストーリー性とあいまっての付加価値の向上につながるものと考えております。


【質問】

みやだいずに係る課題がいくつかあるようです。収穫量が少ないと乾燥機にかけられず,天日干しになればコストがかかりすぎてしまう。また,PRが順調にいき,販路拡大となれば,より多くの栽培が必要なりますが,原種の特性を保持するためには,採種事業をどのようにするのか。みやだいずの取り扱いをどのようにしていくのか。みやだいずプロジェクトは始まったばかりであり,今後の方向性は重要になってくると考えます。

質問します。需要と供給をはじめ,今後の展望について教えてください。

【答弁】

今年度のみやだいずの需要は,みやだいずプロジェクトメンバーが一体となって展示商談会への出展等の営業活動を実施した成果に加え,消費者の健康志向の高まりや広報都城での特集記事掲載の効果もあって,高い伸びを示しております。これを踏まえ,来年度は増産の計画となっております。また,商品化された製品については,食味に対しての高評価もいただいているところです。今後も引き続き,プロジェクトメンバーと一体となって,成分分析,栽培技術の確立等に取組み,高付加価値商品として,販路の拡大を図り,6次産業化推進のモデルケースとなるよう取り組みを進めてまいります。

【提言】

みやだいずの栽培面積を来年度は今年度の3倍の10町ほどに増加すると伺っておりますので,6次産業化推進のモデルケースとして,また,ふるさと給食で子ども達がおいしいというような新商品の開発を期待していますので,みやだいずの取扱いについて,今後も議論していただくよう提言いたします。


(3)ジビエについて

【質問】

近年,日本全国で野生鳥獣による農林作物への被害拡大が問題になっており,都城でも例外ではありません。国はジビエを推進するために,鳥獣駆除の報奨金の金額を値下げしました。また,本市では駆除したシカやイノシシを埋設することが多く,命の重みなども考慮すると,今後より狩猟免許保持者が減少していく可能性があります。奈良県の五條市では,ジビエを活かした地域活性化事業として,食肉を地域の資源として捉え,有効活用することで地域を活性化することを目的の1つとして食肉加工施設を設立しています。建設費用は39,313,000円で内国の補助が約半分あり,市の負担額は19,525,453円。H29年度のコストは,光熱費や人件費などで10,491,000円,収入は13,772,000円であり,収入分から建築費並びに諸経費を勘案しても費用対効果が得られているようです。搬入状況としては,イノシシ301頭,シカ125頭であります。都城のH29年度捕獲実績は,イノシシ1,229頭,シカ926頭であるので,都城でも実施可能ではないかと考えます。

質問します。食肉加工施設の建設について考えをおしえてください。

【答弁】

本市における食肉処理施設の建設につきましては,現時点では市が直接整備する計画はございません。なお,今後,食肉処理施設の建設に意欲のある事業体から相談があった場合は,国の交付金の活用を案内するなど側面的な支援を行って参ります。


【質問】

農水省では,移動式解体処理車ジビエカーを推奨しているようです。このジビエカーは,鳥獣被害の改善と消費者に安心で安全なジビエを供給するために開発され,現地で1次処理を実施することのできる特装車です。都城には処理施設がないという課題を解決できる手立ての一つです。

質問します。ジビエカーの検討について考えを教えてください。

【答弁】

移動式解体処理車,通常ジビエカーとは,遠隔地の捕獲場所から処理加工施設までの運搬課程で,肉質が劣化しないよう,車内で解体,内臓摘出等を行い,枝肉の状態で搬送できる2トン車両です。また,近年,ジビエカーでも入れない山道を走行でき,殺処分したイノシシ,シカなどを保冷したまま搬送できる,軽トラックをベースとしたジビエ専用の小型保冷車,通称ジビエジュニアも開発されております。ジビエカーの検討につきましては,市が直接導入する計画はございませんが,今後,ジビエカーの導入に意欲のある事業体から相談があった場合は,国の交付金の活用を案内するなど側面的な支援を行って参ります。

【提言】

都城市内にはいくつかの猟友会があるのですが,沖水地区の猟友会のメンバーが一番多いと聞いております。沖水には,イノシシもシカもでません。駆除の担い手を増やすためにも,ジビエの処理施設が必要ではないでしょうか。また,意欲のある事業体から相談があれば,支援を行うとの答弁でしたが,民間の事業体で,イノシシを300頭,シカを100頭以上搬入できる力があるでしょうか。五条市は自治体が取り組んでいる事で利益をだしています。事実,神奈川県では,交付金を活用しジビエカーを民間で導入しようとした事業体があったようですが,採算がとれそうにないということで断念したそうです。民間でできることは民間でとは思いますが,現状として民間での実施は厳しいですが,自治体では,可能性があります。是非,しっかりと検討していただくよう提言いたします。


【質問】

千葉県君津市では,今後も駆除を継続するために,担い手となる若者を育成する目的として,狩猟ビジネス学校という事業を実施しているようです。全12回の内容で,イノシシやシカの解体,ジビエバーベキュー教室やジビエカフェ運営などの講座があるようです。狩猟免許保持者の高齢化が進む中,このように若者が,狩猟の知識・技術・狩猟ビジネスを学ぶ場が必要だと考えられます。

質問します。ジビエの講習の検討はないのでしょうか。

【答弁】

本市では,狩猟者確保対策として市が主催するジビエ講習会は開催しておりませんが,宮崎県において,狩猟者,食肉処理業者,調理師,行政職員等を対象とした「ジビエの普及拡大に向けた人材育成研修」が毎年開催されております。本市における狩猟者確保対策としては,今年度の新規事業として,9月補正により新規に狩猟免許を取得され,捕獲従事に意欲のある方を対象に,県と連携して狩猟免許の取得費用の3分の2を助成する事業に取り組んでおります。

【提言】

中山間地域の若者の数は減少しています。5年後,10年後の駆除の担い手の育成をしっかりと考慮して頂きたいと思います。


(4)ふるさと納税の使い道について

【質問】

ふるさと納税では,ブランド肉などの6次化されたものなども扱われており,都城は上位であります。ふるさと納税は数多くの事業に使われているのですが,市民の方から何に使われているのかがわかりにくいという指摘があります。実際に,ふるさと納税を一番使用している事業や,ふるさと納税がないと実施できない事業などは,わかりにくい状況です。宝くじやtotoなどの助成があった事業は,目に見える形で表示があります。

質問します。市民に分かりやすい形での手立ての検討はないのでしょうか。

【答弁】

ふるさと納税の使い道については,市の広報誌に毎年掲載しお知らせすいるとともに,市の「ふるさと納税特設サイト」においても,活用した事業の内容を詳しくお示ししております。また,市民向けのイベントにおいても,使い道のパネルを作成し掲示するなど,市民の皆様にわかりやすく伝わるよう工夫しているところです。今後は,これまでの取組に加え,事業内容がわかりやすく伝わるパンフレット等を作成して,多くの市民の皆様にご理解いただけるよう取り組んでまいります。

【提言】

例えば,今年度,ふるさと納税を一部活用し,普通教室に大型テレビが導入されましたが,目に入る部分にふるさと納税活用事業などのシールがはっていれば,子ども達は普段から意識し,ふるさとを思う心が醸成されるのではないでしょうか。そして,将来その子ども達がふるさと都城へ還元してくれるのではないかと考えます。


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