2018年12月議会
(1)高校の学級数が減少する理由
(2)中学生の選択肢の減少と人口減少との関連
(3)高校と市との連携
(4)最後に学級数維持のための県への要望
【背景】
高校の学級数が減少することについて,維持要望を目的として質問していきます。小さな学校では統廃合があるのではないかと危機感があるところですが,今年6月に宮崎県立高等学校教育整備計画が県議会で報告されました。この内容については昨年5月から検討されており,高校の教員の中では,どういう計画になるのか注視されていたところです。そして,都城地区では平成32年度から,学級数が1クラス減少になる計画となっています。現在,都城の県立高校全体で1学年31学級あるのですが,30学級になるのです。少子化が要因の一つとして挙げられていますが,平成38年度までの中学校卒業者推移をみると,この北諸地区では平成29年は1847人,平成33年が1737人と最もひくくなりますが,その後は増加に転じ,H34年から今年の卒業生よりも多い年が5年間続きます。市内の全日制の県立高校での受検枠は1200人です。そして,現在でも毎年200名前後の生徒が市外へ進学している状況があります。
(1)高校の学級数が減少する理由について
【質問】
県計画によると,宮崎県立高等学校教育整備計画では,卒業生の推移から学級数を減少するとありますが,この都城地区においては,その必要性がないと考えられます。
質問します。高校の学級数が減少する理由について,市としての考えを教えてください。
【答弁】
宮崎県立高等学校教育整備計画に記載されている,各年度における各課程ごとの学級数の数値は予測の数であり,最終的な募集等については前年度に確定し,公表することとなっている。現段階では,1クラス減少するかは未定であり,市教育委員会としても,把握していない。
【提言】
確かに正式には公表されていないところですが,31年度の決定ですので,決定まで半年ほどであり,現場で働く教職員にすると,どの学校であるかは,推定できるレベルであります。教育委員会としては,減少する理由は把握していないとのことですので,なおさら,学級数を減少させる必要性はないと考えるところです。
(2)中学生の選択肢の減少と人口減少との関連について
【質問】
多くの方は危機感がないことと思いますが,これは大きな問題です。
問題その1として,学年で1学級少なくなれば,その学校の先生が4,5人減ることになります。教師の数が減れば,部活動の競技力の低下や,多様な生徒への対応が不十分となり教育の質の低下が考えられます。現在と同様なニーズに応えることのできる学校を目指せば,教師への負担が増えることになります。
問題その2として,中学生の進路の選択肢が減る可能性があるということです。普通科高校のクラスが減少する場合,進路に適した指導クラスができないことが考えられます。また,実業系の高校のクラスが減少する場合,それは1学科なくなる可能性が非常に高いということです。つまり,希望職種に就きたくても市内では学べない可能性が出てきます。どちらにしても生徒の進路選択肢がなくなる可能性があるのです。
問題その3として,市内の高校で大幅な定員割れをしている学校はほぼない状態であるのに,1クラス少なくなれば,第一希望ではない市外の高校に進学することになります。市内には全日制の高校が6つあり,1240名の定員があります。先ほども言いましたが,平成38年度までを考えてみても,中学卒業生の数は平成33年の1737人が最低で,500人以上が県立高校に行けない可能性があり,それは子どもにとって負担になるだけでなく保護者にとっても経済的に負担になることは間違いありません。
そして,これらの3つの問題,特に中学生の進路選択肢が減少することは,負のスパイラルに陥り,都城市の人口減少の大きな要因につながると考えられます。家を建てる時に,子どもの教育環境を考慮することがあります。地縁がなければ魅力的な学校が多い宮崎市を選択するのではないでしょうか。これまでも,子どもの高校進学に合わせて,引っ越しをされる方や逆に単身赴任になられる方がいます。子どもの教育環境はそれだけ重要となります。また,県外に一度でて,Uターンを考えたとき,その選択肢として,高校時代過ごした場所は,その候補としての存在感が増すと考えられます。また,昨年度から地元就職率のことが話題になりますが,地元で育てる人数が少なければ,就職率は同じでも,人数としては減っていき,人手不足につながると考えられます。
質問します。市としては,中学校卒業生の進路選択肢の減少をどのように考えておられるでしょうか。
【答弁】
宮崎県立高等学校教育整備計画には,「子どもたちにとって,より良い教育環境の提供を目指す」という視点が重要であると示されている。ついては,市教育委員会としては,子どもたちのニーズに応じた進路選択の保証を行うものと考えている。なお,1クラス減少することにより,進路の選択肢が減少することが予想されるが,今後,県の動向を見据え,中学校での進路指導やキャリア教育を充実させる等,地元で育った子どもたちが一人でも多く都城の地で力を発揮し,活躍することを通して将来の人口減少対策につながるよう努めていく。
【提言】
地元で育った子どもたちが一人でも多く都城の地で力を発揮し,活躍するという答弁は,義務教育期間だけでなく,その後も市として教育支援を行う姿勢だと受け取りました。小規模の市町村では,地元の子供は地元で育てようというキャッチフレーズで自治体をあげて,学校をサポートしている事例は数多くありますが,この都城市の人口規模で,この答弁は価値あるものと期待するところです。宮崎県は子育てしやすい県として上位ですが,今後都城はその中でもトップになる都市に発展する可能性を感じたところです。
(3)高校と市との連携について
【質問】
宮崎県立高等学校教育整備計画によると,地域との連携による教育の推進を図るとあります。さらに,地域の力を活用して高校生を育てる観点から,地元自治体,地元企業,地元小中学校と連携した教育活動の充実を図るとあります。高校と市がかかわる連携の形として,インターンシップなどのキャリア教育での連携や,スクールバスの提供,英検などの検定料の補助などの保護者負担軽減としての連携,高校があるからこそできる小中校連携など様々な形があると考えられます。
質問します。現在,人口減少対策につながるふるさと都城に定住するような高校との連携事業として現在どのようなものを行っているのでしょうか。
【答弁】
高校卒業後も地元に定住する人を増やすために,高校と連携している事業としましては,平成27年度から,地元企業と連携した企業巡見を実施してきております。この企業巡見は,高校性やその保護者,教職員が,貸し切りバスなどを利用して地元企業を巡り,実際に社員が働く現場を見学することで,より深く,その企業の魅力を理解することができるという取組であり,地元での定住を希望する若者に,地元企業の良さを伝えていこうとするものであります。また,今年度は,市と都城商工会議所,地元企業が共同で企画して,高校生向けに,地元企業を知るイベント「就職まつり」を開催し,官民一体となって,若者が地元に定着できる仕組みづくりに取り組んだところであります。
【提言】
就職支援など市が高校をサポートしていることがわかりました。本市は,デュアルシステムなどその他にも支援をしておられます。また,高校があるから,盆地祭りをはじめ地元のイベントが盛り上がり,高校があるから,小中学校での教育効果が高まる連携をいくつもお聞きしているところです。このように高校の存在は本市にとっても必要不可欠なものであると確信しています。
(4)最後に学級数維持のための県への要望について
【質問】
都城の教育の質を維持するために,人口減少の鈍化のために,学級数を維持するための要望を県に行っていただきたいと考える方は大勢おられます。
質問します。計画では1学級少なくなると発表されておりますが,市としては,どのような対応をされるのでしょうか。
【答弁】
高等学校の所在地や設置学科,生徒,保護者,地域のニーズ等を踏まえるとともに,部活動や生徒の進路希望に対応した幅広い教科・科目の開設が望ましいと考える。高校のクラス数現状維持も大切だが,何より生徒にとって,より良い教育環境を提供する観点から,市教育委員会としては,様々な機会をとらえて県に要望するよう努めていく。
【提言】
教育長から県に要望するよう努めていくという力強い答弁をいただき,ありがたいことと考えます。高校の年代にも市が支援を行うことで,都城市民にとっては,切れ目ない子育て支援を本市は行ってくれると期待することと考えます。中学校や高校の現場の教職員は安心して教育に専念でき,保護者,生徒は安心して目標に向かって学習に取り組むことができるのではないかと考えましたが,現場では,正式に学級数が公表されるまでは安心できない,本当に行政は動いてくれるのかと疑心暗鬼の様子でした。市は,人口減少の鈍化のために,本気で取り組んでいただきたいと考えます。子どもたちのよりよい教育環境を作るためにも,粘り強く学級数維持を要望していただくことを提言いたします。次世代を担う子供たち一人ひとりがきらりと輝く都城になることを期待しています。
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